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10年選手と20年選手

おつかれさまです。今日は他社さんのモデルから診させていただきました。シリアルナンバーから恐らく2013年製と思われるフォノEQ付プリアンプです。

通常は辞退するのですが、お客さんがメーカーさんに修理の問い合わせをしたところ、サポート終了しているので対応できないがサンバレーに訊いてみたら?と言われたということで無碍にお断りすることもできず、無改造品であることを条件にお預かりしたという経緯です。
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以前このプリは私どもでも扱わせて頂いていたので大体の中身は分かっています。特徴的なのはカソフォロ段が通常インピーダンスを下げるために12AU7を使うところ、利得を優先して12AX7としオーバーオールのNFを深めにかけて測定上の特性改善を図っているところ。整流管 (5AR4)の二本使いもユニークです。
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内部です。MM入力, LINE4系統, 出力3系統, REC OUTも装備されています。REC OUTは入力から直接出すのが通常ですが、本機では録音出力レベルが入力電圧に対して約-6dB (1/2)になっています。デジタルレコーダー等を接続した際にレベルオーバーにならないための工夫かもしれません。

事前にお伺いしたところでは、入力に接点復活剤を使用したところ、しばらくして音切れが発生するようになったとのこと。誌通電してみるとMM↔LINE1間で明らかな接触不良が発生していることが確認できました。恐らく経年変化で酸化被膜が生成したうえにケミカルを使ったことで状況が更に悪化したものと推定します。

対処としては先ずアルコールスプレーで復活剤成分を飛ばしてから酸化被膜部分を丹念に剥離させていきます。そのうえで再度アルコールスプレーで接点を洗浄していきます。数回これを繰り返した結果、切替時の信号断絶がすっかり解消され、快適に使用できるようになりました。

その後、全ハンダ部の再点検、セレクターとヴォリュームの緩み修正等を含んだ全体点検を実施しました。
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せっかくお預かりしたので入出力端子もピカピカに研磨しておきます。作業完了後の測定で左右ゲインに1dB程度の差異があることが分かりましたので、フォノ段はSN重視で選別したうえで、フラットアンプ部の真空管位置を最適化しオールオーバーのゲイン差も0.2dB以内に抑え込むことが出来ました。

周波数特性は10Hz以下~100kHz以上、高NFのおかげで歪率も優秀、測定前に少し心配だった出力インピーダンスも1KΩ程度まで下がっていることが分かり安心しました。さすが国内を代表するメーカーの製品、良いプリアンプです。これでストレスなく使っていただけると嬉しいです。

続いては自社アンプのメインテナンスに移ります。アンプに添付されていたレターを拝見すると、約20年間もの間、未通電だったので全体点検を希望するとのこと。履歴を調べたら2005年にキットでお求め頂いた品物であることが分かりました。
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SV-2 ver.3003 キット

ご覧の通り外観はほとんど劣化のない超美品です。モノづくりも立派なものでした。
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かなり経験と技術力のあるお客さんの作品であることがひと目で分かります。内部配線の熱硬化もなくセメント抵抗の印字も退化していないので、20年ぶりの通電というのも頷ける状況です。これは何としても新品クオリティに復旧せねばなりません。

この個体に関して最大の難関は入力ヴォリュームでした。20年ものあいだ回されることのなかったこともあり盛大なガリが出ます。交換してしまえば早いのですが、工数と部品代で1万円近いコストアップに繋がるので出来るだけのことをしてみようと思い、丹念にアルコールスプレーを噴霧して何十回とクリーニングを行ったところ、アンプが直流的に安定した段階でほぼ皆無にすることが出来ました。

今後しばらく無入力で通電し、電解コンデンサー等が十分活性を取り戻してから測定とエージングを実施して完了とする予定です。

今日の製品は元々の状態が良くて助けられましたが、通常製造から10年, 20年と経った製品には必ず対処すべき課題があるものです。その一つ一つを軽視せず、しっかり対策することで新品の時に味わっていただいた感動が甦ってくるという訳ですね。皆さんも諦めずにオーハーホールして一日も長く愛機をつかってあげて下さい。


by audiokaleidoscope | 2026-05-20 20:31 | オーディオ

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