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修理機台に学ぶ

おつかれさまです。今日はオーバーホールと修理案件の内容を共有させて頂きます。

なんだ!お前修理ばっかじゃねえか!と思われるかもしれませんが、30年近く、合計85000台余りを市場に送り出している訳ですから、月に15~20件のご相談はあるものです。大切なのは改造案件でない限り、逃げも隠れもしないということだと考えています。

公にはサポート終了を謳っている機種でも、実はパーツさえあれば多くの自社アンプは直せます。まだまだ現役で使っていくという意志を示していただいている限りベストを尽くすのはむしろ当然のこと。

まずはSV-722 ver.C22から。
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C to C入手品ということで来歴不明ですが、前期仕様で恐らく20年以上前に当社で組立代行させて頂いた個体と思われます。

お申し出事項は通電後のノイズとLED切れということでしたが、せっかくお預かりしたので電源部を最終仕様に更新するとともに、劣化部分の対処も含めた全体点検, 接点洗浄, 機構部の増し締め等、出来ることは全部やってお返しします。
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電源基板はヒーターバイアスをかけ、更にFETリップルフィルターによる超低域ノイズ追加対策を行いました。容量の下がったケミコンも交換しておきます。
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ヴォリューム, セレクター周りもアルコール洗浄したうえでネジの増し締めによる剛性アップ。20年前に時計を巻き戻せたのではないでしょうか。

続いてはSV-284D / PSVANE WE845仕様です。使用中にノイズが出て煙が上がったというお申し出でした。
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実機の内部。最初ご連絡をいただいた時は845の暴走でパスコンがぶっ飛んだか、電源部の平滑コンデンサーが死んだかのいずれかと思っていたのですが、ぱっと見、大きなダメージはなさそうです。

更に虫眼鏡で細部を調査していくと...
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抵抗の変色を発見。これは高周波発振を防ぐためのグリッド・ストッパー抵抗で通常この場所にはほとんど電流が流れないのですが、抵抗が発煙したということは、本来流れるはずのない大電流がグリッドに流入したことを意味します。

通常のロジックとしては845の内部で超高圧が掛かっているプレートが物理的, 熱的な変形 (熱膨張)を起こし、フラッシュオーバー (放電)によってグリッドと接触, スパークしたことを疑うのが通常です。グリッド・ストッパー抵抗がダメージを受けた代わりにFUSE代わりとなってアンプを保護したというストーリーになりますが、その場合はもっと抵抗の劣化が激しい筈。

別のパターンとしては前段からDCがリークし、グリッドバイアスが揺さぶられてIpが振り切れたという可能性も無くはありませんが、SV-284Dでは橋本特注のインプットトランスがあり、一次 / 二次間の絶縁特性には異常がないことから、845由来と考えるのが真っ当な推論です。

そこで別の機台 (SV-S1628D)で当該845を使って通電してみます。常時アイドリング電流を監視し、万一不安定な動作が発生すれば直ぐ電源をカットオフできるようにしておきましょう。
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284Dと1628Dでは845の動作環境が異なりますが、固定バイアスのためむしろ検証は容易です。こういう時の為にデモ機を残しておかないといけませんね。

しかし物事が推論通りに進まないのが、この仕事の常。
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かれこれ2時間、継続して通電しているのですが、845に不安定な挙動は見られません。波形的にも安定していますので、現時点で845に劣化による不良という推論を裏付けるファクトは取得出来ませんでした。

これが真空管アンプの奥深く難解なところ。私のレベルでは直ちに正解を導き出すことが出来ていませんが、まず自らを呈してアンプを守ったグリッド抵抗に敬意を表しつつ交換し、念のため845も新しいものに置き換えてみて通電検査する他なさそうです。同時に容疑者の845にも継続的に取調室に入っていただいて対話を継続していくことにします。

このパズル的な難しさ, 面白さ (といったらお客さんに叱られますが)によって知識やノウハウの積み重ねが出来、同じようなトラブルが発生した時の智慧となる...よい勉強の機会をいただいたと考えて真摯に継続確認していきたいと思います。


by audiokaleidoscope | 2026-05-14 23:59 | オーディオ

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