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発振でなく共振

おつかれさまです。今週はかなり厳しい状況でしたが、なんとかGW前の予定案件をコンプリートできる見込みが立ちました。とはいえこの週末含めあと4日しかないので一件でも多く仕上げたいと思っています。

そんななかで今日ご紹介するのは
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SV-P1616D / 6L6GC仕様 組立代行品

もともとKT88仕様で作った個体でしたが、お客さんから6L6GCでも聴いてみたいという要望で動作確認をしているところです。KT88に対して6L6GCでは約25%出力が下がるものの中域的な寛ぎのある音質に変化して、McIntosh MC30 / A116-Bに通じる好印象な音です。
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Ipは65mAでMC30よりも流しているので、動作的にはP1616の方がクラスA寄りの動作ですが、出力はMC30とほぼ同じの28W辺り。低域の密度感がMC30と共通していていい感じですが、高域はP1616の方が伸びています。6L6GCというとKT88やKT150よりも地味な存在ですが、実はとても良い出力管ですのでもっと注目されてほしいタマです。価格もこなれていますし。

そういえば今日こんな事もありました。お客さんからエレキットTU-8300の出力トランスを自分で交換したらアンプが発振する...ちょっと診てくれないかというご相談をいただいていました。”発振”というワードはアンプの開発者にとって最も刺さるというか気になる単語の一つです。

アンプにおける発振を定義してみると「回路が外部入力なし, または入力とは無関係に特定の周波数の信号を自己生成し続ける現象」と言えばいいでしょうか。入力がないのに出力がある状態、つまりアンプ内部で正帰還 (positive feedback)がかかっている不安定な状態で、いずれ必ずアンプが壊れます。
発振でなく共振_b0350085_04102317.jpg
出力トランス交換というのは設計の根幹に関わることで、通常メーカーは容認せず、あくまでユーザー側の知見と自己責任に委ねるというのが基本的立場です。私どもでも検証済トランスにリプレイスすることはありますが、かなり細かい検証と対策をしたうえで慎重には慎重を期して実施しています。ご興味ある方は下のエントリーをご覧いただければと思います。

今回お客さんが交換された出力トランスの品番を伺って回路的検証をしてみましたが、アンプを発振させるような因子は発見されませんでした。念のためメーカーの設計者にも確認をとってみましたが、正しく組まれていれば発振することはない...ということでアンプをお預かりした次第です。

発振しているアンプは信号を入れていくと特定の周波数で大きな盛り上がりが発生します。例えていえばマイクのハウリングのようなものです。これがアンプのなかで常時起こっているとすれば大変なことです。しかし...信号を入れてみるとデータ的には何ら問題ありません。出力7W強のTU-8300に対して20Wクラスの出力トランスを使っておられるので低域もよく伸びており10Hz~40kHz (-3dB / 8Ω)の素直な特性です。

なんとなくホッとしながら何故お客さんが発振を疑ったのだろう...と思いながらいろいろと触っていて分かりました。このトランス、発振しているのではなく「鳴いて」いたのです。通常スピーカーからの音でトランスの鳴きには気が付かないものですが、測定環境ではスピーカーの代わりに8Ωのダミーロードをつないでいるのでアンプの負荷をあげていくと手に取るように分かります。

実際はこんな感じです。


再度言いますが、これはトランス自体が鳴いて入力信号 (音楽)が聴こえている状況です。以前にも書いた通りスピーカーを抜いての実験は絶対に避けて下さい (本動画では8Ωダミーロードで終端しています)。

傾向としてはEIコアのケーシングされていないトランスで起こりがちな現象ですが、トランスのコアサイズが実出力に対して余裕があり、コアの機械的締結が十分であり、設計的にOKであれば特に気にする必要はありません。初めて体験するとちょっとビックリですけどね。


by audiokaleidoscope | 2026-04-24 23:59 | オーディオ

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