今日は修理二件の出荷前点検。いずれも過去同様の事例がありましたので内容の共有をさせて頂きます。まずはSV-91B (現行版 キット組立品)です。

Western Electric 300B仕様でご購入いただいたキットでしたが、今回お預かりした際はPSVANE WE300B仕様でした。

内部はしっかり作られていて、絡げ配線, ハンダの浸潤もパーフェクト。お申し出内容は片chのヒーター電源基板の出力電圧異常でした。
原因はヒーター用の三端子レギュレータの取り違え、基本的にはこれだけでした。SV-91Bには二種類の三端子レギュレータ、300B用 (5V)の3052Vと310A用 (12V)の3122Vが用意されています。

外観上の違いが印字部のみということから、マニュアルにも上記の画像で判別できるようにしているのですが、300B用ヒータ電源アセンブリに3122Vが装着、310A用ヒータ電源アセンブリに3052Vが装着されたというのが不具合の原因で、その他はほぼ完璧といえる状態でした。
このような事例は他にもあって、カラーコードの読み違えで100Ωと1kΩが入れ違っていたり、ダイオードのカソードとアノードが逆付けになっていたりという事例は年に何回か発生しています。変な言い方ですが、慣れた人ほど陥りがちなトラップですので、初心に立ち返ってマニュアルをよく確認して製作いただくことで回避できた修理案件でした。
次も300Bシングル、JB300B (2012年式)キット組立品です。


お申し出内容は片ch通電中のノイズ発生。 配線の引き回しは質実剛健。スマートとはいえないかもしれませんがモノづくり的にはこれで十分。最も大切なハンダづけとネジ締結トルクはしっかりしており、電気的な不具合は全くありませんでした。
原因はRchの300Bソケットの緩みでした。約15年間ご愛用いただくなかで300Bの比較を繰り返されるうちに少しづつ端子部が開いてしまったかもしれません。今回はソケット交換までは不要で、端子部を物理的に起こし接触不良を回避して復旧。その他、全体点検を行い完了間近という状況です。

今回実機を拝見していてひとつ気づいたことがありました。上の写真をみると電源SWと入力ヴォリュームのうえの塗装が売るくなっていて木部は僅かに凹んでいます。これぞ ”アンプに歴史あり”...15年間おそらく1000回, 2000回と触っていただいているうちに塗装は剥げ、フロントパネルが削れたと思うと本当に有難い気持ちになりました。
せめてものお礼に水性塗料でタッチアップしていきます。

細かい擦り傷も修正して、少しはきれいになったでしょうか。職人さんが電気的に復旧して、私はお客さん目線で俯瞰的に全体点検をしたうえで再測定とエージング。この連携によって不具合再発を防止していきます。
いま過去にないペースで修理依頼品をお預かりしていますが、何回か申し上げている通り、これからもアフターサービス業務は続いていきますので、慌てる必要はまったくありません。
いまお預かりしている案件は4月末頃には全て完了できると思いますので、新たな案件はご依頼を頂戴したうえでGW明け頃に製品を送って頂ければと思います。お預かりする以上は一台づつ時間をかけてしっかり拝見出来ればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。