最も重要なメニュー
2026年 03月 01日
写真を撮らせて頂きましたが全てIさんの愛機たちです。写真の他に他社さんの機材も何台もお持ちですので、全部で20台近くあるでしょうか。スピーカーもSpendorのトップモデルのほかB&Wが4組その他諸々おぼえ切れないほどのオーディオの殿堂です。










Iさんは業界こそ異なりますが、サービス業という共通項があって、商品の提供だけではない情報提供やさまざまなお困りごと相談など、共通する部分が沢山あります。私はオーディオに関することであれば、自社製品だけなく一般的なことまで知っていることは何でもお話しますし 、逆に別分野のことでIさんから沢山教えていただくこともあります。お互いのプロ分野で支え合う素敵な関係です。
作業が終わって四方山話をしているとき、改めて気づいたことがありました。
昨日の夜、都心部にある某イタリアンに久しぶりに伺いました。40年ほど前はやくも東京ではバブルという祭りの予兆がありました。そんな時代の風のなかで当時まだ学生だった私も世間の人たち同様、自分の本来の身の丈を超えて背伸びして生きていたように思います。
無理して高い服を買い、無理して外車にのり、無理して高いレストランで食事する...それが地方から上京した自分が ”舐められない”方策だったかもしれません。いま思い出すと笑っちゃいますが、毎日用もないのに六本木を闊歩し、夜中の締めがこのお店でした、ここで日々スパゲティ・バジリコを食し、トマトジュースを飲んで通人を装っていた田舎者だった自分に久しぶりに会いに行った、というのが正確だったかもしれません。
しかし、40年あまりの時間の隔たりは残酷でした。当時多くの芸能関係者、ファッション関係者, 文化人, 音楽家が交流し新たなムーブメントが起こるカフェソサイエティの中心だったこの店が、店は傷み, 清掃は行き届いておらず、お店の方はこの店の歴史や文化についてもほとんど理解していないという状況に大変残念な想いをしました。
そんなセンティメントは無意味。レストランは飯さえ美味ければいいじゃないか、と言われればその通り。オーディオも音楽を聴く装置なんだから音さえ気に入れば十分じゃない、と言われればその通りです。
でも自分はそこだけ割り切ることが出来ない変人で、お店に行く時、服でも料理でも車屋でも、その店にいる「人」に会いたくて行っていると言い換えてもいいかもしれません。時代とともに商品は変わり、人が変わることは仕方ありません。でも過去を捨て去ることはない。その店の文化や先人の遺したフイロソフィこそが最も重要なメニューだから...そんなことを話していたら、オーディオもまったく同じですね、とIさんが仰いました。
私どもの約30年, 85000台の歴史は過去のものですが、その多くが今も遺っている、そのことを忘れてはいけないと改めて思った今回の上京だったような気がします。
