3月末に輸出予定のSV-MC1616D (MCステップアップトランス, 橋本HM-7仕様)量産品の一便が入荷しました。早速測定と試聴を行って設計仕様通りに出来ているか確認していきます。

SV-MC1616D / 橋本HM-7仕様 (左)
上の写真は元々同じMCトランスがビルトインされているSV-310EQに、敢えてMC1616Dを310EQのMM入力に接続している図です。つまり回路図的には同じ。でも物理的には異なっている状況を比較している訳ですが、不思議なもので音は明らかに異なったものとして感じられます。

ポジティブに捉えれば、トランスが別筐体に置かれたことでシールドが強化されリーケージフラックス (漏洩磁束)の影響が減ったともいえるし、ネガティブに捉えれば接続系 (接続ケーブルの介在等)による僅かなキャパシタンスやDCRが影響しているとも言える...どう聴いても同じではありません。
入力電圧が0.3mV前後という極めてローレベルな環境ですので非常にセンシティブであるとはいえ、オーディオというのはつくづく何をやっても変わる奥深さを改めて感じています。
今日はこんなこともありました。

海外ハイエンドオーディオブランドのプロダクトマネジメントに関わっておられる同業のKさんがショールームに来られました。自宅でSV-Pre1616Dをお使いで、現用の電源ケーブルと
PS-02を比較したいというお申し出でした。
壁コンセントから僅か1~2mの電源供給ラインを替えたからといって何が変わるのか...何故変わるのか、これを科学的, 物理的に証明することは難しいかもしれません。
正直私も長い間何万~何十万というケーブル崇拝には懐疑的でしたが、MUSIC BIRD収録を通じてオーディオケーブルの奥深さを体験し、自身でもこの領域に挑戦してみようと思ったのが6年ほど前のことでした。以前にもアップした拙文ですが再掲しますので、お時間ある方はご一読頂ければ幸いです。
つまり個人的には何も足さない, 何も引かないのが理想ケーブルの要件であるべきところ、今日持ち込んで頂いた2本とPS-02の間には実際明らかな音質的差異がありました。どこまで行っても相対的評価であり、客観的, 絶対的基準がないことにあるので、正否を断じることが出来ないのがケーブル評価の難しいところです。


この2本が持ち込まれたケーブル。ブレード無メッキ派と仰るKさんのケーブルはいずれもフラットレスポンスで空間的表現に長けています。良い意味で若々しいフレッシュさが印象に残りました。

対してPS-02は良く言えばナチュラル。逆に言えば際立った特徴がないと言えるかもしれません。果たしてSV-Pre1616Dの本質をより引き出しているのがどれなのかの判断は使う人それぞれに委ねられているともいえましょう。
ひとつ言えるのは、本来マイナスゼロであるべき伝送系も少なからず音に影響を与えているということは紛れもない事実だということです。この試聴室が無くなって今日のような極めてシビアな比較試聴が出来る場所は一旦なくなりますが、今日の経験をしっかり心に留めて、これからの仕事に活かしていけたらと考えているところです。