外観では分からないこと
2026年 02月 23日


確認したところ真空管にも内部にも不具合はありませんでしたが、問題は初段12AX7のソケットの緩みでした。どうしても経年によって篏合が甘くなって今回のように接触不良気味となることはあります。
真空管を左右に揺さぶって改善する場合もありますが、厄介なのは揺すれば揺するほどピンの開きが悪化することが多く、触らぬ神に祟りなしという場合も多い典型的パターンです。対処としてはソケット交換という根治治療はもちろん有効ですが、千枚通し等でソケット内部の端子を内側に起こして接触を回復させる方法もあります。今回は端子整形と追いハンダで復旧しました。
続いてはSV-9T 前期です。

この個体は2005年式で20年以上問題なくお使い頂いておりましたが、今回お預かりして通電確認したところ左右ゲインの大きな乖離が発生していました。

軽微な場合はアルコール洗浄をしてヴォリュームを何回もグリグリすることで直ってしまう場合も多いですが、今回はALPS 16型に交換することにしました。要は程度問題ということですね。
あともう一ケ所はカップリングコンデンサーのハンダ部の劣化でした。上の写真を見ていただくと分かりますが、SV-9T 前期は下部に電源部, 上部に増幅部というレイアウトになっていて、組立後に上下を被せてビス止めして完成となります。
恐らくですがカップリングコンデンサーが電源トランスと物理的に干渉気味で長い間押される形でストレスが掛かっていたのかもしれません。そういえばこのキットをリリースした直後、組んではみたものの蓋が閉まらん!とSOSを頂いたこともありました。小さい手配線アンプは完成後のイメージしながら組み立てることも必要ですが、今回は元々の組立がしっかりしていたこともあって、大きな問題なく復旧させることが出来ました。


お客さんに電話して詳細を伺ったところ、針先のクリーニング時に力余ってカンチレバーに強い応力が掛かってしまったようです。ルーペで見てみると確かにスタイラス先端が内側に傾いていて針を下ろした際に盤面に対して垂直が出ない状態となることが分かりました。
カンチレバーを曲げたとか折ったというお話は枚挙に暇(いとま)なく、私も個人的に何度も経験しています。気づかない間に子供にやられたことも一度や二度ではなく、何度も涙を呑んだものですが、こういう場合は潔く買い替えるか、修理出来る場合は修理するに限ります。結果的に新品性能を回復出来るのが一番ですね。
…こんな感じで、今日は外観的には問題が検出できない不具合の対処事例のご紹介でした。分かってみるとそんなことか...と思うような事でも、その真因に辿り着けるかどうかが雌雄を分けます。
