今日はSV-P1616D / 多極管仕様とSV-Pre1616Dのトラブル対策記録を共有したいと思います。

すべての作業を終えて20時間のエージング中。お客さん支給のMullard / Russia EL34でバッチリ仕上がっていますが、かなりの大工事でした。
C to Cで出力管なしで購入された個体のオーバーホールのお申し出だったのですが、なかを見ると...

出力段のカソード抵抗が熱的に破壊して外被部が崩落しています。明らかに出力段の暴走が原因で、この状態になるということは抵抗体が150℃以上まで上昇したことを示しています。
さらには電源トランスの温度FUSEまでも溶融しており、トランス交換しないと復旧しないことが判明しました。両チャンネルともカソード抵抗が断線していることから、規格外の出力管を使ったのかもしれませんが、通常では修復が不可能な状態で売買が行われたことが個人的には残念です。
電源トランス交換, 故障パーツ交換, 配線修正, 全体点検を経て復旧しましたが、購入されたお客さんにはかなりの負担となりました。C to Cは売り手有利の仕組みで、これまでも今回のような事例を経験してきましたが、購入される際は十分にご注意頂きたいと思います。

幸い支給いただいたEL34の状態もよくアイドリング電流も安定しています。もう戻ってくるんじゃないぞ!と言い聞かせているところです。
そしてもう一件、SV-Pre1616D / X-X-U仕様 (当社組立代行品)で真空管はすべて支給品です。

パッと見、全く問題なさそうです。信号もちゃんと通ることを確認したうえで内部を確認することにしました。電圧的にもOKだったのですが、全箇所をつぶさに点検していくと...

すごく目立つように写真を撮ってみましたが、電源πフィルター部の100uF / 350Vがドライアップはしていないものの、電解液がわずかに漏出しているように見えます。基板を外してコンデンサーを確認してみましょう。

やはり液漏れです。何らかの事由で整流後の電圧が過大となったのでしょうか。機台自体は旧いものではないので、コンデンサー自体の劣化ではありません。設計上も十分なマージンがありますので、電源整流部で何らかの異常が発生したのは間違いなさそうです。

念のためLCR計でキャパシタンスを測ってみると90uF以上あり、電圧測定上問題がなかったのも納得です。数字だけを信頼するのではなく五感をフル稼働して確認することが必要ですね。”何となくいつもと違う匂いが...”というのも重要なサインの一つです。

復旧後のシャーシ内部です。原因が気になるところですが、整流管由来の可能性も否定しきれないので、予防保全的に
インラッシュ対策を実施して完了としました。

当社での機台修理比率は現時点の累計で85,000台中2,100件ですので約2.5%というところです。キットメーカーとしては非常に低いレートですが、なにか気になることがあれば、いつでもお気軽にメール頂ければ幸いです。