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SV-S1616D / 300B → 多極管仕様コンバージョン

今日は午前中SV-S1616Dの出荷検査。修理や完成品でなく、300B仕様で組立代行してお納めした個体を多極管仕様に変更するというプロジェクトです。今回はGold Lion KT88仕様です。
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過去履歴を調査すると多極管 → 300Bのパターンが多かったですが、今回は逆パターン。別の音も聴いてみたいという気持ちになるのは誰しもが抱く本能的な欲求ですね。
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もともと組立代行品でしたので工数的期には5H程度で完了。測定結果も優秀で問題なく完了となりました。この音の変化をお客さんがどう感じられるのかがとても楽しみです。

多極管アンプの印象は一般に音の立ち上がりが早くシャープで締まった音質と評価されることが多く、300Bのゆったりと響き豊かな表現とは対照的です。出来れば他の多極管もお試しいただいて世界に一つのマイサウンドを構築頂ければと思います。今回お客さんは、この音の変化体験を通じて初めて真空管アンプの多様な楽器性に気づかれるのかもしれません。

これに触発され、帰宅してから自宅の作業デスク隣のサブシステムを触って気分転換。先日お預かりした6L6GCシングルをKS14703で鳴らしています。
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photo by courtesy of westernelectric around 1950

KS14703は基本的にWestern Electric 755Aと同一仕様と考えて問題ありませんが、KS (Kearny Specification)つまりAT&T / Bell Systemの調達・設計管理番号が与えられているAltec Service Company (のちの Altec Lansing)への製造委託品です。ずいぶん前に買ったものですが今の値段ではとても手が届きません。

KS14703が製造された頃のアメリカの音楽シーン、たとえばチャーリー・パーカーやディジー・ガレスピー, バド・パウエルたちが語法として定着させたビバップや当時のヴォーカル、たとえばエラ・フィッツジェラルド, サラ・ヴォーン, ビリー・ホリデイ, アニタ・オデイと6L6系シングルは最高の相棒のひとつといえるかもしれません。まさに ”時代の音”が鳴る感覚です。

300Bでは美麗過ぎる, EL34は頑な過ぎる...そんな時、その中庸をいく6L6系真空管は時代的背景にもマッチするといえますし、JBL4312系などワイドレンジさよりも中域の濃さを ”らしく”鳴らすのにも6L6系はよく合うと感じます。もっと注目されてもいい出力管です。

ざっくりと編んだシェットランドウールのニットにはき込まれたジーンズをコーディネートするようにフルレンジと多極管シングルを合わせる、これも真空管アンプの楽しさの一つ。日ごろ聴きなれているタンノイとは違う音の景色が繰り広げられています。


by audiokaleidoscope | 2026-01-11 23:59 | オーディオ

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