気が付いたら大晦日。今年を振り返って個人的に最大のトピックは、やはり四冊目の本を出版できたということになるかと思います。
昨年2月末でMUSIC BIRDの衛星配信が終了となり、2014年10月から始まった私の番組も終了となりました。その後しばらく時差ボケのような状態でしたが、それまで月数回だったブログ更新を3月7日から毎日更新に変更し、以降今日まで一度も穴をあけず日々の出来事を共有できたのは本当に有難いことでした。来年もオーディオを一緒に楽しんで下さる皆さんとの交流を続けていけたら幸いです。
そういえば最近試聴にいらっしゃったり、訪問させていただくお客さんから、”本に載っているリファレンス曲を集めています”というお話をよく伺います。そして ”他にも推薦曲があれば随時ブログで情報を出してほしい”というリクエストを何度も頂戴しています。
書籍文中にも書かせて頂いていますが、これまで25年以上この仕事を通じて恐らく何万という音源との出会いがあり、音質的にも音楽的にも優れたものは他にも数えきれないほどあります。本では頭に去来した音源を4ジャンル, 各10曲のみピックアップした訳ですが、本心から言えば ”オーディオ屋がお奨めする高音質音源500”的な本を別に出したいくらい他に推奨曲があります。
これから折に触れ、紙面の関係で掲載できなかった極私的推奨盤をご紹介できればと思っています。今日はその第一回です。

安達さんの肉声のようなヴィオラが聴く者の心を鎮める。全ての曲がイマーシブな情感に満ち満ちており、音色,技巧, 表現力すべてに心奪われる。安田芙充央さん(pf)の表現は大河のように淀みなくヴィオラを温かく包み込んでいる。楽曲の構成もすばらしい。

ヴィオラで聴く無伴奏チェロ組曲はオリジナルとは異なる情感をもたらす。今井さんのヴィオラは技巧よりも内面性と静謐さを追求しており瞑想的。呼吸するような自然さからバッハの深い精神性が立体的に浮かび上がる。無伴奏ならではの ”独り語り”がひたすら美しい。

川上さとみさん(pf)の音楽にジャンル分けば不要である。時にスリリングなバップであり、時にリリカルなドビュッシーのようであり、時にアヴァンギャルドなモンクのようであり…変幻自在で自由に飛翔するプレイスタイルが非常に魅力的だ。既出のLP (完売)とは別マスターで未発表4曲を加えたもので、巨匠 高田英男さんによる深い音場と立体感も併せて楽しんでいただきたい。

サヴァールの解釈は常にバッハの ”父性的側面”と ”母性的側面”を意識させる。バッハは緻密な対位法, 構成美, 幾何学的な構造という父性的な側面が表出しがちであるが、サヴァールのバッハは常に包容力や情感にあふれ、深い宗教的な赦しと慰めに溢れている。まるで精緻な彫刻をみるような情感に包まれる美しい作品である。
...2026年がすべての皆さんにとって素晴らしい一年であることを心より祈ります。どうぞ良い良いお年を!