オーディオの仕事をしていると、名探偵コ○ンのように「真実はいつもひとつ」と断言できない事象をよく伺います。今日もそんなことがありました。
SV-EQ1616D組立代行品をお求めいただいたお客さんから”ノイズが気になるんだが”とご連絡を頂きました。このお客さんはSV-310EQ, SV-396EQもお持ちで、当社の主要機種をコンプリートされている達人ということもあり、きっとEQ1616側の問題だろうと思い、今日実機をお預かりして取り急ぎ家で状況を確認してみました。

こういう場合、”ここが不具合でした”と分かるような現象がパッと出てくれた方が確実な対処が可能です。しかし往々にして問題が再現しない場合もあります。職人さんの仕事にミスはなく、ノイズはもとより、ゲイン, 周波数特性等 すべて規格内に収まっています。
次に耳で確認してみます。

カートリッジはDL-103R。MC入力, GainはLo, Roll OffはOn, OutputはStereo (標準設定)で聴いてみます。
音をお聞かせできないのが残念ですが、とても良い音で鳴っています。お客さんとこの状況を共有すべく、EQ1616Dの出力をプリから外してレコーダーに直接出力し録音してみました。そのデータを送ってお客さんの仰る不具合状況に繋がる事象の有無を確認いただくようお願いしているところです。

録音していてひとつ気がついたことがあります。実機が届いた時、Roll Offが ”FLAT”ポジションにアサインされていました。
製品添付の「使いこないガイド」にも書かせていただいておりますが、このFLATポジションはSP盤を聴くときの設定のひとつで高域側の周波数特性をRIAA規格から外して文字通りフラットにする (ロールオフしなくする)ためのスイッチです。これにより聴感上は高域が逆にブーストされることになり、計算上では20kHzで約19.5dB (10倍弱)に増幅される結果となります。
実は以前、この誤謬は輸出先の海外でもありました。音が変だと散々言われてこの件についてお知らせしたのち、ずいぶん時間が経ってから実は...という連絡がありました。EQ1616DのようにさまざまなEQカーブに対応している機種では、設定そのものをお客さんに解放していますので、設定を間違ってしまえば起こり得る話です。
今回のケースはこれとは関係ないかもしれません。とりあえず可能性のひとつとしてご連絡をさせて頂きました。明日は横浜で終日おりませんので、明後日実機を会社へ移動して再度詳細に確認をしようと思っているところです。はやく真因が特定され、快適な音で楽しんで頂ける日が来るのを待つばかりです。