受け取ったバトン
2025年 12月 06日
自社製品でなく回路図もない他社さんの製品をお預かりすることは通常ありませんが、実機の写真を送って頂いた時に、機種は違えど自分が最初に作った三栄無線の6L6GCシングルの姉妹機であろうことが容易に想像でき、期限を設定せず時間のある時に対応させていただくという条件で個人的にお預かりすることにしました。
その後の経緯も記録に残っていました。
資料も何もないアンプの修理というのは、海図なく海に出るのと同じようなものですが、40年近く前、はじめて真空管アンプなるものに触った時の自分に再会するような気持ちで作業させて頂きました。
完了したのは二ケ月後のゴールデンウィークでした。
お客さんに音をお聞かせした時のことは忘れません。ご依頼をいただいた時点でお客さんの命の期限が限られていることを知り、もう新しいアンプを買うことはない、三栄無線のアンプは若かった頃、東京で独り暮らしをしている時に友人に作ってもらって使っていたので、最後はこのアンプと一緒に過ごしたい...そう仰られた記憶があります。とても喜んで下さいました。
そして先日、息子さんから ”父が逝きました。最後までこのアンプで楽しんでいました”とご連絡を頂いて、お別れに伺った次第です。そして 故人の遺志でこのアンプを預かって欲しいというご依頼を頂きました。
いつもアンプの再生をして次のお客さんにバトンをお渡しするのが自分が、逆にお預かりする立場になるとは思ってもいないことでしたが、大切に使わさせていただこうと思っています。最後に再生完了時の写真を貼っておきます。


