今日はスペア球のオーダーをいただいた際の実機選別の中継です。MさんからSV-310EQ, SV-310, SV-91B用の三台分合計4ペアのご用命を頂きました。
一般的には在庫から4ペアもってきてハイどうぞでお終いとなるところですが、この三台は同じ310Aを使っていても動作条件が大きく異なるので、チューブチェッカーでGmを確認すればOKとはなりません。最も望ましいのは実機上での選別であることは申し上げるまでもありません。
まずはSV-310EQからスタートします。

よく”なぜ310EQのボンネットはネジ留めで外れないのですか?”と訊かれますが、その答えはそれだけ選別がシビアで安易な交換が良い結果にならないことが明らかだからです。

底板を開けてボンネットを外した状態です。誘導ノイズを回避するためのシールドキャップがグリッドケーブルを経由してシャーシアースに落ちている状況を理解頂けると思います。またボンネット内の310A / 274B遮蔽版もRchのノイズ低減に大きな効果があります。

そしてGmの高いECC88はシャーシ内に格納して安定した状態で動作させています。MCポジションでざっと60dB (約1000倍)の利得を有するSV-310EQでは少しの個体差が大きなゲイン差につながるので、状況によっては20本程度の310Aからお友達を探す作業を繰り返すことになります。
次にSV-91Bです。

91Bは初段五結, ドライブ三結で動作条件が全く異なるので慎重に選別をしていきます。お客さんがあとでごっちゃにならないように背番号を付けておけば安心ですね。
そして最後にSV-310です。Mさんの他に今日キットでもご注文を頂いたので一緒に選別していきましょう。

SV-310のゲインは10dB (約3倍)。310EQと比べると1/300ですが、無帰還三結でタマの素性がモロに出ますので、別の意味で慎重な選別が必要です。ここでもデモ機が大活躍で、結果的に良い選別が出来て良かったです。
そんな作業が佳境に入ったころ、別便でWestern 337Aスモールパンチが届いたと報告がありました。先日Tさんからトップグリッド端子が外れてしまった337Aがあるが直るか?と訊かれ、やってみますと申し上げたところでした。この手のトップグリッド離断は修復はこれまで何度もやってきたので、ご記憶の方もおいでになるかもしれません。
今回も同じ状況とたかを括っていたところ、現物をみて端子が離断しているのでなく、ガラスの先端部が折損して管内に空気が入ってしまったトラブルであることが分かりました。

左側の337Aのゲッターが乳白色に変色しているのは管内の真空度が損なわれた状態であることを示しています。幸いもう一本は棄却値をクリアしており、使えそうです。貴重なJAN-CW (軍用)管ですので、何とか再活用頂ければと思います。
...こんな感じで真空管を活かすも殺すも選別次第というお話でした。