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KENWOOD L-01Tの教え

今日のスタートはSV-310。2008年式 組立代行品です。
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ツマミと銘板が変われば現行品と見違うほどの程度の良さ。17年経っているとは思えないキレイさに思わず有難うと頭を下げたくなるような気持になります。

今回オーバーホールで入庫したもので、一次検査では特に注視すべきポイントが見つかりませんでしたが、念のため職人さんに預けて万全を期すことにしました。
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内部状況です、接点ノイズやガリもなくパーツの変色や膨満もないという状況でした。電解コンデンサーのキャパシタンスを個別に確認したところ、310Aのカソードバイパスコンデンサーの容量が定格の約85%であったということで、現時点では何ら性能に影響ないものの、10年後, 20年後を考えて交換することとしました。

真空管はPSVANE WE310A, WE274Bに更新されているので、新品同様のクオリティと音質でお返しできます。とても清々しい気持ちで一日をスタートすることが出来ました。

今日はその後、納品が2件あってバタバタだったのですが、一件目が先日比較試聴いただいて我がKT-9700が敗北を喫したC-FT100のお届けと設定でした。
すべて順調に設定が完了し、お客さん宅では90dBf以上の受信感度が得られて嬉しかった訳ですが、今回のチューナー更新と同時に往年の名機 KENWOOD L-01T をお預かりしてきました。背景にはお客さんの深い想いがあります。
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若い方はご存じないかもしれませんが、KENWOODは元々TRIOが海外市場向けに使用していたブランド名で、特に米国市場ではKENWOODブランドが定着したため、80年代にブランドが統合され社名自体がKENWOODに変更されました。簡単に言えばTRIOはKENWOODの前身という訳で、先日の試聴もきちんと整備されたKT-9700を聴いてみたいというTRIO / KENWOODファンであったお客さんのリクエストであったという訳です。

最近 このL-01TをC to Cで購入されたものの、どうも期待された音質ではない...どこか調子が悪いのではないか...そのような気持ちで使ってこられたのはお辛かったことと思います。迷われた結果チューナーの更新を決断され、今日C-FT100の代わりに01Tを診てもらえないか、ということでお預かりし、試聴室で通電したのが上の写真です。

結果はたいへん残念なものでした。ちょっと聴いただけで高周波部に明らかな不調があることが分かります。別のPLLシンセサイザーチューナーで70dBf以上で入感していても01Tではモノラル放送(アナウンス)では明示的な問題ないものの、ステレオ放送(音楽)では明らかな歪み感があり、これでは常用になりません。

世の中にはこれらのチューナーを修復できる能力をお持ちの方がおられます。その技術力に見合ったコストと時間に対して投資するか否かで私も色々と調べてみた結果、01Tの価格あるいはそれ以上のコストが掛かる見込みで一旦修復を断念しました。

”動作確認済”, ”受信確認済”という言葉には様々な受取り方があります。その言葉自体に嘘はなかったかもしれません。ただ結果としてC-FT100を新たに購入され、01Tの修復を断念されたお客さんの想いは如何ばかりのものであったことでしょう。

”今思えば、最初から、この選択をしておけばよかったのにと思うばかりです。
でも、私はどこかで旧TRIOに対する憧れが強かったのだろうと思います。
オーディオを始めて50年、始めて他メーカーのチューナーを使うこととなりました”

夕方お客さんからいただいたメッセージはモノづくりに関わる者として非常に重いものでした。私どもが旧製品の買取り / 再生事業を始めたのもC to Cで流通する自社製品の品質に驚愕したことがきっかけであったことを思い出しました。

結果的にこの01Tを復活させることが出来るかどうかは分かりませんが、ショールームが閉まるまで、自分を戒めるためにもお預かりしておこうと思っています。

by audiokaleidoscope | 2025-11-28 23:59 | オーディオ

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