数か月前から分かっていたこととはいえ、こうやって実物を手にすると愁思の情を禁じ得ない管球王国最終号。

ちょうど30年前、ステレオサウンド別冊として刊行された「真空管アンプ大研究」との出会いがなければ、私が趣味としての自作派から、自らの音をアンプに託して訴求するビジネスへの転換を志すことはなかったかもしれません。
ほどなく「管球王国」創刊。それまでハイエンドオーディオという言葉と真空管アンプは別世界のものと思っていた自分にとって、内外の高級真空管アンプはきら星のごとく眩しい存在でした。結果的に自分は廉価なキット販売によってモノづくりの素晴らしさを一人でも多くの人と共有する道を選択し、管球王国でなく他の技術誌との関係を強化していきました。
アスペクトチェンジが起こったのは創刊後5年ほど経ったころでしょうか。予期せず管球王国編集部から”キット製作記事でサンバレーの製品を採り上げたいので協力して欲しい”とリクエストをいただき、まさに天にも昇る気持ちでした。管球王国と関係が生まれたことで、私どもの何かが変わったことは間違いありません。
Super 8B, SV-4, SV-91B, SV-S1616D...管球王国にキットの製作記事が載ることに違和感を覚える読者もおられるのではないかと危惧しつつ、二度とないチャンスと信じ上京した日のことを忘れません。その後、新製品が出るたびに採り上げていただき、
VP-2500SEでは表紙を飾ることが出来ました。
その後、2020年頃から一旦すべてのオーディオ誌への出稿を見直すこととし、ビジネス上の関係が希薄となった後も、編集担当さんとは個人的に懇意な関係が続いていた中での休刊の報せは青天の霹靂でした。今後はWEBメディアとしての存続も模索されると伺っているので、引き続きのご活躍をお祈りしたいと思います。
この最終号を乗り越え、いつか仲間が”再集合”する日が来ますように...。ともあれ30年間おつかれさまでした。有難うございました。