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”ないこと”の確認

今日は月末ということもあり、今月中に終えておきたかったメンテ上がり品の出荷前点検。こうやって毎月15台~20台、オーバーホール目的や調子が悪いアンプをお預かりしている訳ですが、累計出荷84000台に対して修理品の累計がもうじき2100台。ということは単純計算で2.5%、つまり1/40がこうやって戻ってくる計算になります。

修理は少ないほど良い、という考え方がある一方で、キット製作品や旧い製品が100%の性能を発揮してくれているかは診てみないと分かりません。現実的ではありませんが、本当は全ての機台を健康診断させていただきたい気持ちです。修理比率の高い低いより、正常稼働率がどれだけ高いかの方がずっと大切な筈ですから。

そんなことを考えつつ、今日対面した2台。最初はSV-S1628Dから。
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軽微な不具合でしたが、高電圧アンプということもあり、時間をかけてしっかり細部まで確認していきます。職人さんの自主点検に加えて自分がダブルチェックすることで、潜在している問題、たとえばネジが締まっていなかったとか、ハンダ不良箇所が検出されることも稀にあります。
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時間対効果ということであれば生産性は低いですが。仮に100台に1台でも何か見つかれば、私は作業する価値もあると考えて一台一台真剣に対峙しています。上の写真は845モードでのバイアス調整値の確認。バッチリ調整されていることが追認できました。
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この機台にはGE 211 / VT4-Cが添付されていました。恐らく1940年代前半の品物だろうと想像します。外観的には未使用に近いですが、これも通電してみないと何が起こるか分かりません。
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211モードは自己バイアスなので調整は不要ですが、出力管が変わるということは車でいえばエンジンを載せ替えたようなものなので、電圧の再測定を行って理論値通りの動作になっているか確認していきます。そしてエージングとハムバランス等の調整を経てやっと一台が完了ということになります。真空管が複数添付されている場合は、その種類分だけ時間も工数も掛かることになりますが、必ず確認します。

次はSV-91B 前期。本個体はセカンドユーザー品で履歴をトレースしたら2021年にオーバーホールさせていただいて、当時特選中古品として再生販売させていただいたものであることが分かりました。
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Russia 310A, Prime 300B ver.4, PSVANE 274BとPSVANE WE274Bが添付されていました。整流管以外は2021年当時から変わっておりませんでした。

FUSEが飛んだというお申し出で全体点検を実施した訳ですが、幸いアンプ本体に明示的不具合は起こっていませんでした。ただ細かく見ていくと、310Aのベース部の接着部がガタついたり、FUSEホルダーの樹脂ナットが緩んでいたりと、出荷当時完璧だと思っていても4年経つといろいろと見つかるもので、その検証と反省(再発防止)が次の検査時の大きな糧になっていきます。完成品以上に修理品から学ぶことは多いものです。
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出荷当時に撮影したシャーシ内部の写真と見比べて、恐らく何も触られていないことを確認したうえで、再度全箇所ハンダ部とネジ締結確認と測定とエージングで完了です。銘板が旧いタイプでオフセンターで貼ってあるので、折角ですから新タイプに換えて真ん中に貼ってあげましょう。
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今日は2台で一日終わり。結果的に自分がやったことは多くありませんでしたが、問題なきことを確認した、という行為に意味があると考えていますので、大変有意義な一日でした。この積み重ねがお客さんの安心につながっていけば良いと思っています。


by audiokaleidoscope | 2025-09-30 23:59 | オーディオ

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