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真(しん)を知る者は偽(ぎ)を見抜く

今日は久しぶりにお休みをいただいて骨休め。ゆっくりさせて頂きました。有難うございます。

とはいえメールはいつものように届きます。そんななかで一つ気になるものが...。
真(しん)を知る者は偽(ぎ)を見抜く_b0350085_18503764.jpg
懇意にさせていただいているEさんから届いた写真。ある老舗真空管販売店で購入された310Aが「これははたして本物のWestern Electric製なのか不安になりました」ということで写真を送ってこられました。

Western310Aを使ったことにある方ならばひと目で違和感を覚える外観です。まずデートコード(Batchナンバー)がない, プレートのパンチング形状が異なる, トップグリッド電極の形状が異なる, 管内のジュメット線の構造(形状)が異なる, そもそもガラスのシャイプが細め...結論から言えば明らかにフェイク(偽物)です。

この真空管については以前皆さんにも警鐘を鳴らさせて頂きました。Russia(旧Svetlana工場)製の10Ж12C / 10J12Sのリプリント品です。
ソ連が崩壊してから数年後からSoviet軍用真空管が大量に放出されました。MIG25に搭載されていた6C33C-Bなどはその代表例ですが、SV-18Dで使用していた6C41, SV-miniOTLの6C19なども旧ソ連の軍用真空管です。

この10Ж12Cもその一つで”Ж”の字が使われている真空管はシャープカットオフ特性を有し、主に高周波増幅, 軍用通信機器, 測定機器やレーダー用途に使用されたものですが、これがミレニアム前後から西側(一部東欧)の業者の手にわたり、電気的にWestern 310A近似の特性を有していることから、リプリントされ偽物として流通するようになりました。

日本国内でも2000年代の中盤から少なからず見られるようになりました。Ebayなどでも出自を知らない出品者から真正品に混じってデートコードのない珍品扱いで普通に売り買いされたものですが、10Ж12Cを知っている人ならば瞬間的にフェイクと見抜ける(べき)ものです。

今回の問題はC to C市場でなく、B to C市場で発生した事案であること、さらに言えば真空管アンプ愛好家であれば誰でも知っている老舗を経由して顧客に流れてしまったことです。もちろんこれが故意であったとは考えておりませんが、本来は水際で防止されるべき事案であったと考えます。今回は幸いEさんの知識と経験によって適切な対処がとられることになるものと思います。

背景にはヴィンテージ真空管の著しい高騰があることは間違いありませんが、フランス製のブランドバッグでも本物を持っている人から見れば明らかな偽物であっても、偽物しか知らない人はそれを見抜けない...この事実は厳粛に受け止められなくてはなりません。売る側も買う側もしっかりと知識を持つこと、そして信頼出来る相手から入手することが何より重要ですね。


by audiokaleidoscope | 2025-09-28 19:43 | オーディオ

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