賞味期限と消費期限
2025年 09月 25日
その昔、私が洋服の世界に居たとき、いまと違って売り場には四季がありました。いまは春物や秋物という言葉自体あまり聞かなくなりましたが、私が業界に入った40年近く前、婦人服の世界では8あるいはそれ以上の季節(感)がありました。7月終わり頃に出る秋色の夏素材を初秋物といい、1月終わり頃に出る春色の冬素材を梅春などと呼んだものです。
私がバイヤー(買い付け担当)になった時、当時の先輩からは”ファッションというのは野菜と似ている。売り場に出た瞬間が最高の鮮度で、そこから少しづつ確実に陳腐化が始まって3ヶ月で価値がゼロになる。そう思って売り場を作らなければならない”、と。私がそれがいやで、自分が仕入れたり企画して作っていただいた商品が3割引きとは半額とか、終いにはどれでも1万円とかで、モノとしての価値は変わらない筈なのに市場価値が低下していくことに非常に忸怩たる思いがあったものです。
その点、オーディオは違う。もちろん性能的な劣化は応分にあるのですが、適切にメンテすれば数十年(以上)の寿命が期待できるところを誇りに思っているところです。
賞味期限と消費期限という言葉があります。どうも一部誤用があるような気がしてならないのですが、元々の定義では賞味期限は「おいしく食べられる期限」, 消費期限は「安全に食べられる期限」が正しい筈です。昨今話題のOSサポート切れ問題は後者で、コンビニでいえば消費期限2時間前になるとレジでスキャンしようとしてもエラーになって販売出来ない仕組みに似ているような気もします。食べられるものを売り場から撤去して棄てなければいけない辛さはどれほどのものでしょうか。
オーディオはその点、良い製品は時間が経てば経つほど価値が下がるどころか、上がっていく傾向もあります。この前或るお客さんから言われたのが、C to Cでサンバレーのアンプは相当高値で動いているという話題。そちら方面を見ることが殆どないので相場的に自社製品を考えたことがありませんが、私どもの認定中古の足が速いのも、品質面と価格面の両方が要因だとよく言われます。
以前も似たような写真を載せた記憶がありますが、今年着手させていただいた2台のアンプの内部写真をお見せします。


トランスメーカーが菅野から橋本に変わったりシャーシ工場も変わったり、コスト面を含め前期と後期(現行)では幾つかの背景的差異があるのは事実ですが、製品の価値に差異があるとは全く思っておりません。オーディオの賞味期限と消費期限は造る側と使う側の努力と営みによって、自ら決めることが出来るところが本当に良いなあ、と思いますし、とても大切なことだとも感じているところです。
