歴史の1ページ

今日は組立代行品の出荷検査と並行して来月の認定中古の一次検査。そのなかから一台ご紹介。SV-18D (6C41P OTLアンプ)の未組立キットを買い取らせて頂いて新規組立した個体です。ボンネットを外してエージング中の状況ですが、この個体で何か珍しいかといえば出力管6C41Pが、いわゆる”クリアゲッター”という非常に珍しいタイプのものだったからです。

参考 通常の6C41P(バリウムゲッター)

通常、真空管内部には銀色あるいは黒色にちかい”ゲッター”が吹きつけられています。これはバリウム(Ba)を主成分としたもので、管内の不活性ガスを吸着し真空度を維持す役割を果たしている訳ですが、稀にジルコニウム(Zr)を主成分としたゲッターも存在しており、性能は同等(以上)ですが外観的には透明で目視で確認できないという珍品です。

今回の品物は完全未開封キットだったので該当しませんが、ずっと前に”ゲッターがないじゃないか(怒)”とクレームがきたこともありましたっけ(笑)。
SV-18Dの内部です。半分以上が電源部と保護回路ですね。OTLつまり出力トランスがないという特殊な形式で、70年代頃に理想真空管アンプの一つの形式としてかなり製造されたものの、スピーカーの低インピーダンス化に伴って段々少なくなりました。

2009年頃だったと記憶していますが、”よし、いちどOTLをやってみるか！”と一念発起して開発の狼煙をあげたところ大きな反響があり、販売前の予約だけで250台近くのオファをいただいたことが強く印象に残っています。これも私どもの歴史の1ページ。しっかり性能確認して次のユーザーさんに託していきたいと思います。