今日も認定中古の検査が続いています。最初は”銀箱mini"(4インチフルレンジ バスレフシステム)。
ALTEC 612(通称”銀箱”)のイメージを極小サイズに凝縮したモデルでした。この個体は量産前の一点モノとしてお納めしたものです。

エンクロージャー:フロントバスレフ方式, 塗装:シルバーハンマートーン塗装, スピーカーユニット: Electro Voice 205-8A(8Ω), 再生周波数帯域 :80Hz〜18,000Hz, 能率 :91dB/w/m, サイズ :W210 × H310 × D205 (mm)。

吸音材としてサーモウールがたっぷり使われています。エンクロージャーは針葉樹合板(いわゆる米松系)素材で一個あたり約3kg程度と軽く、ブラケット等を使えば天井吊下げ等の設置も可能です。
続いてはSV-23D / Mullard EF37, RCA 807(1944)仕様。

807はトッププレートのビーム管で、第二次大戦後に無線機の出力部に多用されたのち、高出力が必要な放送用アンプや音響設備などで使用された人気球でした。国内では1960年代の日本国有鉄道でATS-A形の地上設備にも使われ、UY-807名義で多数製造されました。

電気的には6L6の高電圧バージョンと言っても良い存在で、SV-23Dでは欧州版310AともいえるEF37を電圧増幅段に装備し約7Wの出力を得ています。さらに整流管5AR4によりヴィンテージテイストを醸し出した人気モデルでした。
午後からはメインテナンス済アイテムの出荷検査を実施しました。まずは90年代後半以降の国内外ハイエンドスピーカーで多用されていた欧州製スピーカーユニットの故障多発問題です。このエントリーをご記憶の方もおられるのではないでしょうか。
今回お預かりしたのは
Sonus Faber Cremona Mのミッドレンジ。前回と同じで、ボイスコイル引出し線とリード線の接合部分を固定している接着剤に含まれる高酸性物質による腐食断線事例です。

矢印部分の接着剤を除去し、腐食断線部分を結合し再固定を実施しました。Cremona / Cremona Mにおいては全帯域ユニットが同状態になり得る可能性があります。

修復後の通電検査。ボイスコイルのDCR確認と音出し確認をして完了となりました。輸入元修理では現行ユニットとの交換措置になりますので費用も大きく変わるでしょうし音自体も変化します。現在こういう手のかかるメインテナンスが出来る方が身近におられることを大変誇りに思います。
今日最後に着手したのはVP-3000SE(300Bppプリメイン, 2008年組立代行品)でした。今回は初の事例で300Bプレート電流を制御するカソード抵抗の断線でした。もともと40Wクラスのホーロー抵抗が装備されており設計的には十分でしたが、熱的要因で抵抗値が上昇し更なる温度上昇を招いた結果の故障であった可能性があります。


シャーシ内部両端に敷設されたグリーンのホーロー抵抗をご確認いただけると思います。今回予防保全的に50W品に替え温度上昇を抑止することとしました。
修理によって製品信頼性が向上するというのは皮肉な結果ですが、今日のスピーカーユニットと同じで顕在化した問題を対策することで、その後の品質向上を図っていくのがモノづくりに関わる者の責任であり、学びとして次の仕事に生かすことが極めて重要であると日々感じているところです。