Western Electric 284Dの誘惑
2025年 07月 06日


SV-284Dの設計値はプレート電圧: 930V, カソードバイアス電圧: 95Vですので実プレート損失は約80Wとなります。計算上このままでも284Dを挿しても問題ないといえますが、貴重なWesten Electric 284Dを定格ギリギリで使うのはやや抵抗があります。そこで特注仕様としてバイアスを若干深めにしてプレート電流を抑えることとし、音質を犠牲にせずに出力管の負荷を軽減することとしました。もちろんこのままで通常の845も使えますので、最大出力が若干下がる以外の背反事項はありません。
今回のように製造されて80年~90年経過している真空管は、過去どのような使われ方をしてきたか全く分かりませんので注意が必要です。特にトリタン球はオキサイドコーティングフィラメント球よりも寿命が短めで、フィラメントのDCRもバラツキも大きい傾向があります。
また寝かした状態で長期保管されているとフィラメントが撓んでトラブルになるケースもあり、一瞬にしてお釈迦というパターンもあります。ペア50万~100万近い貴重球ですので、念には念を入れてフィラメント7V, プレート電圧700Vくらいから徐々に電圧を上げていって万全を期していきたいと思います。
こういう特殊なパターンはお客さんと受け側である私どもの間に強い信頼関係があることが大前提です。その期待にお応えできるよう、私どもの集大成の一つとして真剣に取り組んでいけたらと考えています。


