最近、頻出するSV-P1616D / 300Bから今日もスタートです。


真空管は梅セットですが、カップリングはArizonaにグレードアップして、後々の真空管グレードアップに備えておきましょう、というところでしょうか。
そしてもう一つこの個体にはお客さんの拘りがあって、製作時に”NFB=6dB仕様で”と指定がありました。これまでNFBの難しさ, デリケートさについては何度も書いてきました。或いは今回のお客さんはこのエントリ―を事前に読んで下さって周到に検討くださった結果かもしれません。
事実、日々聴いているSV-P1616D / 300BでのNF量の違いは決して小さなものではありません。通常三極管アンプでは3dB程度, 多極管アンプでは6dB程度を標準値として設計することが多い訳ですが、組み合わされるスピーカーや聴く音楽ジャンルによってNF量を変えて使うというのは、かなりのハイテクニックな技といえます。
SV-P1616D / 300B仕様においては、6dB化によって300Bppならではの”吹き出す”ような量感が僅かに後退する代わりに、音のキメ細やかさが増し、端正かつ繊細という方向性に振れる感覚です。周波数特性もNFBによる平坦化によって高域側, -3dB, 8Ωで70kHz以上まで伸びています。当然のことながら仕上がりゲインも通常より約3dB低いので、測定上の残留ノイズも半減(0.2mV以下)しています(聴いて分かる差異ではありません)。
敢えていえば鮮度感をとるかバランス感覚を重視するかの差ではあると思いますが、例えば高能率ホーンスピーカーなどで高域の尖鋭感を若干抑えたいというようなケースでは6dBは一聴の価値ありだと思いますし、欧州系のミドルサイズスピーカーでHFがドームツィ―ター等の場合は3dBの方が300Bらしい艶が出ると思います。まあ後変で変えてくれと言われれば何時でも対応できますので、お好みでどうぞという感じではありますが。
次の画像も見慣れた感じですが、JB-320LMではNFB可変機能(無帰還 / 3dB / 6dB)をユーザーに開放して、その違いを大いに楽しんで頂きたいと考えました。多くの方がポジション2 (3dB)を選択されているとは思いますが、試しに1に替えてみて音像がグッと前に来た、或いはポジション3 (6dB)を選択して広々とした音場感を楽しめた...等の差異、言い換えれば真空管というデバイスの反応の良さを大いに体感頂ければと考えています。
”3dBか6dBか...それが問題だ”とシェイクスピアなら言うかもしれませんが、同時にハムレットのなかでシェイクスピアは登場人物ポロニアスに”偽ることなかれ”とも代弁させています。そう、頭で考えて”理屈上こちらの方が良い筈だ”...なんて頭で考えることはありません。要は自分の聴きたい音で聴く、これがオーディオを楽しむ最大の秘訣です。