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欧州系ハイエンドスピーカーを真空管アンプで鳴らす

今週は昨日書いた九州からご来訪の試聴の方のお相手, メンテ依頼品のチェック, 査定依頼品の確認等々、充実した一日でした。
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今日の試聴のお客さんはFocal(仏)をお使いとのこと。Focalとは過去何度もお手合わせをしてきました。セミナーや公開収録などでFocalを鳴らす場合は基本SV-8800SEを使ってきました。


Focalに限らず欧州系のハイエンドスピーカーは”公称インピーダンス8Ω (最低3.5Ω)”的なダブルスタンダード表記がされることが多く、”実際どちらが本当のインピーダンスなの?”と訊かれることが多いので少し解説します。

JIS規格におけるスピーカーのインピーダンスの定義は主に JIS C 5532:2014「音響システム用スピーカ」に準拠します。この規格ではスピーカーのインピーダンス(Rated Impedance)に関して以下のように定義されています 。

”定格インピーダンスとは、スピーカーのインピーダンス特性曲線において最低共振周波数(f₀)以上で最も低くなるインピーダンス値を基準にして、その値以下にならないように丸めた標準値”
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この図はスピーカーインピーダンスの周波数における変移を概念的に生成AIで描いたものですが、つまり”Minimum Impedance”(上記例でいえば4Ω)が本来のインピーダンス表記であるべきところ、高域で上昇していることを根拠に平均化して8Ωとしている訳です。或いはインピーダンス4Ωとカタログに載せることで”鳴らし難いスピーカー”というネガティブなイメージを回避する意図が含まれているのかもしれません。

真空管アンプの場合、6Ωスピーカーをアンプの8Ωにつなぐのか4Ωにつなぐのか...多くの方が一度は悩まれたことでしょう。これについては過去何度も書いてきましたし、拙著でも詳説していますが、ごく簡単に説明すると

スピーカー6Ω / アンプ8Ω
・アンプが想定している以上の重い負荷がぶら下がる状態
・アンプに設計値以上の電流が流れようとするが、大きな影響なし
・最大出力に変化なし(低出力時の歪率が悪化する場合あり)
・アンプ本来の音質が維持される傾向

スピーカー6Ω / アンプ4Ω
・アンプが想定しているよりも軽い負荷がぶら下がる状態
・アンプの動作としては軽くなる(歪率向上)
・最大出力は30%程度低下する
・アンプ本来の音質より力感が損なわれる傾向

以上から一般的には”真空管アンプでは6Ωスピーカーはアンプの8Ωに接続”案が優勢です(4Ωでも勿論間違いではありません)。

市場には意図的に出力トランス二次側に8Ω端子一系統しか出していない製品も散見されます。これは出力トランスの二次巻線の途中でタップを出すよりも最外周の8Ωを活用した方が音が音質的に有利という知見による可能性もありますし、数W~数十W出力の真空管アンプではあまりシビアに考えず音質優先で良いという考えに基づくものという見方も出来ます。

真空管アンプ=ハイインピーダンス, 高能率スピーカー専用というのは過去の考え方。ある程度アンプの内部抵抗を下げる(=適度なNFBをかける), 一定程度の最大出力を確保する 等の設計的配慮によって半導体アンプではなかなか得られない瑞々しい音を楽しめる場合も多くあり、今後ますます欧州系ハイエンドスピーカーを真空管で鳴らす方が増えるものと予想します。


by audiokaleidoscope | 2025-06-16 23:59 | オーディオ

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