ある休日のリアル
2025年 06月 01日
今後の販売に関するお知らせを申し上げて以降、特に組立代行の案件数がかなり積み上がっていて、納期に関して製品によっては2ヶ月(以上)いただく場合が出てきています。少数精鋭の職人さんが品質第一で頑張ってくれていますが、どうしても製造台数には限界があり、ご理解を頂ければ幸いです。加えて修理, オーバーホールのご依頼も増えてきており、案件ボードに書き切れない状態になっています。
今後メインテナンス系のご依頼に関しては、受注担当から連絡あるまで発送をお待ちいただく場合も出てくる可能性もあります。どうぞよろしくお願いいたします。
そんな状況のなか、今日の着手した案件ですが

TU-8600系の後継として8900が出た時、個人的にはプリを別途用意したセパレートユースで無帰還がお奨めと感じました。当時のエントリーでは
と書きました。NFBあり/なしは増幅系の総利得とスピーカーの能率を加味したシステムトータルで検討すべきことですが、音質的には過度のNFBはアンプの見かけ上の静特性は上がるものの、音質的には真空管それぞれの個性をスポイルする傾向にあり、勿体ないと感じます。
今回の事例のように真空管無しでの組立代行でも私どもは全く問題ありませんが、情報として”こんな使い方をイメージしてます”的な情報をいただけると、私どもなりの参考意見を開陳させていただくことが可能ですので、セカンドオピニオンとして活用頂ける場合もあるのかなと感じます。
次に着手したのがSV-91B / Western Electric 300B仕様(キット組立品)。


改めて申し上げると負荷インピーダンスが8Ωから16Ωに変わるとアンプのゲインは概ね3dB(電圧比で約2倍)上がります。これは無視できない変化でプリアンプの音量ツマミ摺動角がかなり下がることになるでしょう。また一般論としてハイインピーダンススピーカーは概ね高能率ですから更にその傾向が顕著になるかもしれません。
留意したいのはアンプのゲインが3dB上がることで測定上の残留ノイズも上がる計算になることに留意が必要ですが、この個体で言えば16Ω負荷時の実測値で0.3mVと非常に優秀で全く問題はありません。
また一般的な真空管アンプの場合、出力トランス二次側の最外周タップから負帰還ラインが初段カソードに戻るのが普通ですので、今回のSV-91Bのように16ΩラインがNFラインとスピーカー出力の兼用となる場合は帰還量も8Ω時とは変わって音質も変化するのが興味深いところです。91Bでは負荷を16Ω化することで更に音が前に出る傾向になります。
次なるターゲットはSV-S1616D / KT150 + Arizona仕様(組立代行品)です。

通常はそのままお返ししてお終いなのですが、3年前に最終検品してお嫁入りした新同品ということもあり、健康診断 兼 3年無料点検をしてお返しすることにしました。ソケット周りの増し締めとヴォリュームのギャングエラー補正、そして全体点検を実施し、パーフェクトコンディションで里帰りということになりました。
そして今日いちばんの大物が”Sunvalley 10inch Coaxial" (25㎝同軸2Way スピーカーユニット)のメンテ品でした。元々Middyで使って下さっていたのですが、高域側のボイスコイル断線が発生し、ダイヤフラムアッセンブリごと交換という大掛かりな修理になりました。
新品の代替アッセンブリは既に手許になく、最悪修理不能でお返しせざるを得ないという状況も想定していたのですが、このユニットをお持ちの方から譲っていただくことが出来て、そこからダイヤフラムを外してリプレイスすることが出来てホッとしたというのが本音です。


こんな感じで休日の作業場はあっという間に一日が過ぎていきます。今日は興がのって思わず長文になってしまいました。最後まで読んでいただき有難うございました。