音楽好きの皆さんが最も使うアプリの一つに”
Shazam"があります。
2018年頃から急速に普及した音楽認識アプリで、例えばラジオから流れてきた、或いはオーディオショーのデモで「良い曲だなあ。曲名を知りたいな」と思った時にスマホを取り出してShazamを起動すれば直ちにアーティスト名, 曲名が表示されデータとして保存されるという大変便利なものです。
”何を今さら”という方が大半かもしれませんが、感覚的にはオーディオファンでも三割くらいの方がShazamを知らない(使っていない)という印象ですので、今日改めてお知らせさせていただきます。
主な機能を整理しておくと
音楽認識:数秒間(~10数秒)音楽を聴かせるだけで、曲名・アーティスト・アルバム情報を表示
履歴保存:過去にShazamした曲の履歴を保存し、後から確認可能
Apple Music等との連携:認識した曲をそのまま再生したりプレイリストに追加可能
歌詞表示:一部の曲ではリアルタイムで歌詞を表示
オフラインモード:インターネット接続がなくても一時的に曲を記録し後で認識可能
というもので、iOS, Android, macOS, Apple Watch, Siri(「この曲なに?」でShazamが起動)等で使うことが出来ます。
使い方は極めてシンプルです。まずShazamを起動すると

待機画面が立ち上がります。次にSマークの部分をタップします。

そうするとサーチモードに移行し、曲によっては1~2秒で検索を完了します。

このように曲名, アーティスト名が表示されます。

に保存され、自分のプレイリストに入ります(あとから削除等編集も可能)。

サブスクアプリを導入済の方はすぐに聴き直しが可能です。

周囲の暗騒音が大きくても曲の特定率には大きな変化はありませんし、LP等で再生環境で音質に差異が出やすい場合でも同様に特定率が下がることはありませんが、いわゆるマイナーレーベルの楽曲などグローバルなデータベースに登録されていない音源の場合はエラーとなります。またアーティストがライブで歌っている際にShazamしてもクチパク以外は楽曲特定は不可能(である筈)です。
約一億曲ともいわれるビッグデータから特定の曲を極めて短時間に探し出すアルゴリズムはどんなものか、興味を持たれる方は少なくないと思います。
ごく簡単に説明すると、Shazamを起動して音楽を”聞かせる”とアプリが楽曲音声を録音し、時間と周波数の情報を持つスペクトログラム(spectrogram:音の強さを時間と周波数の2次元で表したもの)に変換します。
ついでこのスペクトログラムから「ピーク検出」(特徴点の抽出)を実行します。これが楽曲特定の決定的な根拠となる訳ですが、逆にいえば楽譜通りに完璧に演奏する自動ピアノ演奏等に対してShazamは無能である可能があります。つまり同じ楽曲でも演奏者による”ゆらぎ”をShazamは検出してデータベースと突合しているという訳です。
若干補足しておくとShazamが検出したピーク情報を元にハッシュ(hash)というデジタルコードを生成します。これは”音声指紋”とも言われ、それぞれの楽曲に内包されている固有の特徴を検出する大きな根拠となるという訳です。感覚的には正答率は99%以上。クラシック等では誤った回答を返してくる場合が僅かながらありますが、学習機能により今後、精度が向上していくものと予想されます。
…理屈はともかく、このような便利なアプリがあることをご存じなかったという方は即インストールいただいてご活用下さい。聴く音楽の間口が大きく拡がり、日々のオーディオが更に楽しくなるに違いありません。