リファレンスディスク40選
2025年 05月 23日

試聴の希望機種はさまざまですが、海外ではマイナーな三極管シングルを希望される方が多く、皆さん”たった数Wでこんななに良い音で鳴るんだ!と驚かれます。半導体の時代になって100W, 何百Wが当たり前のなかで、実は私たちが聴いている音は1Wから精々数Wであることを知らない方も多いようです。
興味深いのは海外の方が持ってこられる試聴盤。CDにしてもレコードにしてもお国柄というか日ごろ聴くことのない海外の音源を一緒に聴かせていただくのはとても楽しいものです。逆に日本で人気の音源は何かと訊かれることもとても多いので、おすすめ盤を何枚か用意しているのですが、特に日本語の女性ヴォーカルが人気で皆さん番号を控えてお帰りになります。
試聴盤で思い出しましたが、新刊の中で”リファレンスディスク40選”というコーナーがあります。MUSIC BIRDパーソナリティを10年やらせていただき、機器比較試聴用に使った音源のなかで特にオーディオチェック用に好適と思われる音源を挙げていこうと思っています。40タイトルに絞り込むのは大変ですが、懐かしい昔のオンエアを聴きながら楽しく選曲に勤しんでいるところです。
オーディオ機器の音質にはシビアでも、音源のクオリティはあまり気にしないという方も結構いらっしゃいます。デジタル録音の時代になってローレベルを持ち上げ、ピークを潰した聴感上のダイナックレンジの狭い音源がずいぶん増えましたが、よいオーディオで聴くと原盤の音質の良否が手に取るように分かるようになるものです。
真空管アンプは下方リニアリティ、つまりローレベルの再現性に優れているので、音楽の抑揚感やニュアンスが高まって知らず知らずのうちに音楽に引き込まれていくようなイリュージョンを体験することが出来ます。もちろん何を聴くのも自由ですが、もっと音源のクオリティに注目しても良いと思いますし、機器の音質についてはこれだけ書かれていても良い音の音源についての情報が決定的に不足しているように感じるのは私だけでない筈です。