人気ブログランキング | 話題のタグを見る

JAN 274Bの修復

今日は二日ぶりに現場復帰して作業。GW明けの稼働がスムーズに開始できるように下準備しています。

4/30のお知らせにつきましては皆さんを驚かせてしまい、大変申し訳ございませんでした。頂戴したメール等では今生(こんじょう)のお別れのような感覚で受けとめられた方もおられるようですが、わたし自身でいえば、まだ4年半近く会社におりますので、製品ご所有の皆さんとの絆は基本的には何も変わりません。今後も変わらぬお付き合いをお願いいたします。

いちばん多かったご質問に対する回答ですが、まず自社オリジナルアンプの松竹梅を構成する真空管につきましては適宜補充していき、出来るだけ皆さんの需要にお応えできるよう対応します。次に他社製品につきましても在庫払底後に客注等のニーズあれば対応させていただく予定ですのでご安心下さい。

今後は皆さんのお手許にある当社製品のアフターサービス(性能維持)中心にシフトして事業継続していく訳で、それこそがモノづくりに携わった者が果たすべき責任だと考えておりますが、今日もそんな作業をしておりました。
JAN 274Bの修復_b0350085_03385005.jpg
JAN 274B(推定50年代)の修理です。旧い真空管でよくあるのがガラス部とベースの接着剤が経年で痩せてグラグラになった状態です。簡易的に瞬間接着剤で仮固定することは有効ですが、結局また緩んでしまうものです。

この274Bはユーザーさんが何度もさまざまな接着剤を複数回にわたり注入した結果、無残な外観になってしまった状態でした。更に固着時のミスでガラス部がかなり斜めに傾いた状態でした。これを原状回復してみたいと思います。まずピンのハンダを溶融, 吸引し引出線を切らないように細心の注意を払いつつベースを外していきます。
JAN 274Bの修復_b0350085_03384938.jpg
これが外したベース部です。内面には接着剤がベットリついておりましたので、カッターやグラインダーで丹念に除去していきます。上端にまだ接着剤の痕跡が残っているのがお分かりいただけるでしょうか。
JAN 274Bの修復_b0350085_03385055.jpg
引出線の状態です。よくみるとフィラメント(上の二本)が銅色でプレートが黒色であることが分かりますが、ベースとの再接続時に極性を間違うと大事故になりますので、事前にテスターで各線間のDCRを確認するなどして万全を期しておきます。

次に慎重に引出線をベースピン内に再挿入し、ハンダを流し込みます。熱容量の大きなコテを用意し、ピンと引出線にしっかりハンダが流れるようにしないと接触不良を惹起しますので要注意です。その後ハンダ部をヤスリで整形してからベースとガラスの境界に二液性エポキシ接着剤を適宜塗布します。爪楊枝などを使い境界部にエポキシが盛り上がった状態で残存しないように注意します。
JAN 274Bの修復_b0350085_03385061.jpg
約2時間で作業完了。チューブチェッカーでの測定もOKで無事修復できました。元々2000USドル近い価値のあるJAN 274Bですが、ユーザーさんが買取店へもっていったときは1000円だったそう。これでまた気持ちよく使えますね!



by audiokaleidoscope | 2025-05-03 23:59 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


by SUNVALLEY audio
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31