今日は異例な時間帯のブログアップです。旧店主日記の頃も含め、こんな時間に書いたことはなかったかもしれません。明日づけで重要なお知らせがあるので、いつもよりも早く出社してGW明けの納品案件のエージングと測定を頑張りました。

まずがTU-8900 / 竹セット。力強く厚みのある音を目指しPrime 300B ver.4をフィーチャーしたのが竹セットです。

NFBは無帰還にして音がグッと前に来る力強さを引き出してみました。NFBの功罪については過去のエントリーを再掲しておきますので改めて読んでみて下さい。
個人的にはごく軽くNFBを掛けた”薄化粧”仕様が好みですが、メーカー側の都合で言うと実は深めにNFを掛けておいた方が色々な点で便利(楽)なのです。
まず無帰還=増幅系のフィードバックが掛かっていないということですから、真空管の個体差がモロに出ます。例えば6dBのNFBが掛かっているアンプで左右ゲインが合っていても、別の無帰還アンプで使ってみたら左右のゲイン差が1dB以上あった...なんてことが日常茶飯事。言い換えれば無帰還アンプではかなり真空管の選別がシビアになり、メーカーにとっては工数増+真空管の歩留まりダウンとなります。
その他、見かけ上の測定成績を上げられるというメリットも大きいかもしれません。上の過去エントリーで引用中したグラフを見ていただいても分かりますが、NFBを掛けることで周波数特性が平坦化し公称F特を良く見せることが可能です。またNFBによってアンプのゲインが下がりますので、見かけ上の残留ノイズも下げることが出来る...販売側にとっては良いことづくめという訳です。
ただ以前から申し上げている通り特性と聴感は必ずしも一致せず、特に直熱三極管で高NFBアンプは往々にして音の鮮度が失われ、色彩感に欠けたスピード感に欠けた聴感に傾きがちです。当社でいえばJB-320LM, またこのTU-8900のように帰還あり/なしを選択できるアンプの場合は是非比較してみて下さい。皆さんの装置環境や聴くジャンルによっては明らかに無帰還の方がマッチする場合もあるでしょう。
そしてSV-284D / ELROG845仕様。SV-300LB直結でこれも今日は無帰還モードでエージングしています。

ステレオモードで出力32W+32W / 8Ω。周波数特性10Hz~48kHz/-3dBですから無帰還でも全く問題ありません。845は特に鮮度命のタマですので、もしSV-284DをNFBありで聴いていらっしゃる方は試しに無帰還モードでも聴いてみていただいて、どちらがお好きか改めて比較されると良いと思います。

ELROG845。カーボングラファイトプレートのコンベンショナルな845カテゴリーでは現行最高級品です。対して先日紹介したEL284D(モリブデンプレート)は同じELROGでも趣を全く異にしています。

ひとことで言えばER845の方が渋く低重心な印象ですが、どちらが良いかは”聴く人のみぞ知る”…つなぐスピーカーによっても全く違った答えが出るのが845です。名馬を御するのは容易いことではありませんが、うまく鳴った時の845の切れ味は比類がありません。
そんな訳で今日は845の輻射熱でポカポカの作業場からお届けしました!今日は天気も良いので良い祝日を!