整流管クイズ
2025年 04月 28日
メーカー完成品については基本メーカー指定球以外の差換えは控えるべきで、万一トラブルが発生しても保証対象外となると思いますので十分ご注意ください。またキットや自作アンプでも差替えはメーカーまた設計者の承認がない限り自己責任となりますので、今日の話題はあくまで当社アンプ限定のコンテンツとして共有させていただくものです。
以下、二種類の当社アンプの回路図(電源部のみ抜粋)を提示します。ここでクイズ。”このアンプで使える整流管はなに?”...一緒に考えてみましょう。

ヒントは赤枠の破線で囲っておきましたが、整流管の使用可否を決定づける二つの要件として①ヒーター巻線仕様, ②コンデンサーインプット容量に注目します。さてこのアンプでは何が使えるでしょうか。早見表はこちらにアップされています。
このアンプはヒーターが5V/3Aで、インプット容量が22uF/450V二階建て=合成容量約10uF/900Vということが分かります。かなり選択肢が広いアンプといえ、274B, 5R4系, 5U4系はOKということになります。仮にヒーター巻線が5V/2Aの場合は274Bか5R4系に限定されることになります。またインプット容量が仮に22uFの場合は逆に274B, 5R4系はNGということになります。
続いて例題②です。

この耐圧はアンプの動作条件によって変わりますので一概に何VであればOKということはありませんが、一つ言えることは傍熱整流管に共通する挙動としてヒーターがカソードを間接的に加熱するため、電流的に安定するまでの起動時間が直熱整流管よりも長く、電流的に安定するまで過渡的にコンデンサーの耐電圧を超える可能性があることに注意が必要です。
仮にこのアンプがプリやフォノEQで、増幅管がMT管の場合はB電圧がカソフォロ段でも精々200V台ですから傍熱整流管でも問題ありません。つまりアンプによって傍熱整流管が使えるかどうかが決まってくるということに注意が必要です。
…こんな感じで、まず回路図を確認して設計的な適合性を確認し、次に実装してみて電圧的な余裕度を測定するという二段階認証プロセスによって差替の可否が決まります。最初に戻りますが”だろう”で安易に差替えるのは控えるべきで、迷いがある場合はメーカーあるいは設計者に事前確認することが重要です。
また電気的な適合性が担保されたとしても、アンプ自体の動作環境(電圧分布)が変わることで意図された音質が得られない可能性もありますので、安易に行わずじっくりトライする必要があります。この辺りの注意事項を踏まえ大いにお楽しみ頂ければ幸いです。
いわゆる”タマ転がし”にも様々な決め事がありますので、ルールを守ってご安全に!ということを最後に申し上げておきます。