素晴らしきアマチュアリズム
2025年 04月 24日
その締めくくりがこのSV-284D / ELROG ER284仕様(左)。


元々プレート損失100Wの845に対して284はA級動作で75W, 最大で85Wですから厳密には845より内輪な定格なのですが、ELROG社の発表ではER284は同じ100Wということでありながら、通常使用でも写真の通りモリブデンのプレートが赤熱し、通常の845以上に”灯明”が明るく輝いています。

前にも書いたことがありますが、私どもの組立代行品で求められるのは均質性(同一品質)ですが、キットは皆さんの良い意味でのアマチュアリズム、言い換えれば誰の為でもなく自分の為に一生懸命に時間と手間をかけて一台のアンプを作り上げてやろう!という強い意志と個性に満ち満ちています。

今日この284Dをエージングしながらずっと聴いていたCDがこれ。

このCDはピアノの弾き語りメインで楽曲によってガットギター, サックス, パーカッションとのデュオもあるシンプルな構成ですが、鮮度感のある音質でオーディオファンにもお奨めです。
今回地元のドクターが主宰されるレーベルから新譜が出て久々にお二人のプレイを聴かせていただくことが出来て嬉しく思っています。
このCDの音源は御大 伊豫部富治さんがレコーディングを手掛けられたとクレジットされていますが、何らかの理由でラフミックス状態で作業がストップしていた音源だったようです。ラフミックスとは粗々で定位(パン)と音量(レベル)を調整しただけの状態でアンプで言えば追い込み前の試作状態です。
その音源をかの小徹徹さんが仕上げて世に出ることになったという経緯の音源ですが、一曲目の冒頭やや右手からピアノの打鍵が聴こえ、やがてまみさんのヴォーカルがセンター定位ながら僅かにディレイ成分がLch側に拡がっていく感じを聴いていると、まるでライブ会場でピアノの前に被りつきで座っているようなイリュージョンを感じます。
言い方が難しいですが、完全に作り込まれていない素材感が十分感じられる状態だからこその鮮度感でありライブネスでもある訳です。通常はラフミックスをDAWに取り込んでダイナミクス系(EQ, コンプ, リバーブ)を触るのですが、過度に作り込まれていない良さが感じられて大変好感をもちました。
これが大手メジャーレーベルの作品ではなかなかこうはいかないでしょう。プライベーターならでは作品、Kさんのアンプと同じ素晴らしきアマチュアリズムの萌芽...農家直送の有機栽培のような良さを感じます。まみさんの歌声はJUJUさんや高橋真梨子さんファンにもハマるジャジーでソフトな歌声が魅力です。