中古パーツの落とし穴
2025年 04月 20日
きっかけは以下のような電話でした。
問い合わせたところ数年前に製造中止ということでしたので、ネットで探し中古の同容量品を見つけ購入し、早速指示通りの極性通りに交換し通電開始したところ、十分ほどでブーンという音が発生した直後、バリバリと大きなノイズがRchのスピーカーから聞こえ、オリジナルGEC KT88内部にスパークが発生しているのが見えました。
すぐにアンプに駆け寄りアンプの電源を落としたのですが、LchのKT88も真っ赤に赤熱していました。アンプの内部から焦げ臭い匂いも立ち上っておりましたので以降の使用を中止しました。サンバレーさんに修理をお願い出来るでしょうか?」

当社組立職人さんが制作した状況から改変されたのは当該JENSENのみで、その他の改造は認められません。しかしお客さんのGEC KT88は二本とも無残に壊れており、一本は電極溶断というクリティカルな状態でした。
そもそもカップリングコンデンサーの本来の設置目的は、信号に重畳する直流分をブロックし、交流分のみを次段に通過させることで段間での直流バイアスの干渉を防止しアンプの動作を安定させることにあります。つまりカップリングコンデンサーを設置することで入力側に現れたDC電位は出力側ではゼロになっている必要があります。
対処としてArizonaを仮づけし通電を試みたところ、幸いトランスにまでダメージが及んでおらず、それほど費用を掛けずに修復が可能であることが分かっています。お客さんに状況をお伝えしたところ「高い授業料を払いました。GEC KT88は未使用で20万円近いお金を出して購入したばかりの物で、今更ですが最初からサンバレーさんにArizona交換をお願いしなかったことを悔やんでも悔やみきれません」と大いに落胆されていらっしゃいました。
今回のような明らかなDCリークは個人的にもあまり経験がありませんが、お客さんの交換作業自体に問題がなく、使用法も正しかったことを踏まえると、自己責任で電気機器の改変を試みる場合でも、しっかり事前の確認が必要であり、確認ができない場合は慎重に検討する必要があることを改めて強く感じた今日でした。このような事故が二度と起きないことを強く願います。