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ホットスイッチング

今日は整流管の劣化を最も誘発する”ホットスイッチング”について共有したいと思います。

これについては既に書いたつもりでいましたが、過去エントリーを検索したところ書籍やMUSIC BIRDのオンエアで何度も言及したものの、本ブログではお伝えできていなかったようなので改めて紹介させていただくものです。
ホットスイッチング_b0350085_04144182.jpg
実験に使用したアンプはSV-S1616D / KT170仕様です。

過去何度か真空管の寿命についてお伝えしてきました。寿命に長い順に書くと電圧増幅管 > 電力増幅管 > 整流管という序列となります。簡単にいえばプレート電流が大きい真空管ほど寿命が短いと考えて頂いて問題ありません。整流管は一本でアンプ全体の電流を支える縁の下の力持ちですから、当然短命にならざるを得ないという側面は押さえておきたいと思います。

その整流管をなるべく長く安定した状態で使うための一番の方策は”コールドスタート”(冷間立上げ)の励行です。裏返せば整流管の管内温度が高い状態で電源を再投入することで過大な突入電流が流れ、整流管内にスパークが発生し多くの場合FUSEが即断します。これを”ホットスイッチング”と言います。

その状況を動画で撮影しましたのでご覧ください。



この動画で使っているのはPSVANE 5AR4です。PAVANE社の名誉にかけて申し上げますが、PSVANEの整流管の品質が悪いということでは決してありません。

SV-S1616Dの標準的な消費電流は1A程度でFUSEは5Aですが、今日の実験では敢えてホットスイッチングを起こしたところ瞬間的に7~8Aの突入電流が発生しました。厄介なのはホットスイッチング等で一度劣化した真空管が復元するすることがないことです。

アンプの消費電流によってはホットスイッチングを行ってもスパークが発生しない場合も勿論ありますが、整流管にとっては大きな負荷となり劣化の要因となります。その結果著しい短命化を惹起しますので注意が必要です。

対策は簡単で「真空管アンプの電源投入はアンプ(真空管)の温度が十分に下がった状態で行う」、これに尽きます。またそれぞれのアンプの設計に合致した整流管を使うことは更に重要です。当社主要機種における整流管適合表を再掲しておきますので、改めてご確認下さい。
ホットスイッチング_b0350085_04585209.jpg
ちなみにSV-EQ1616Dは上記すべてに適合します。大切な愛機の整流管を一日でも長く使っていただくためにもホットスイッチングを避けコールドスタートを励行して下さい。


by audiokaleidoscope | 2025-04-17 23:59 | オーディオ

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