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思えば遠くへ来たもんだ

今日は組立代行品の出荷検査。対象は明日までに4台の出荷検査を終えなければならないSV-Pre1616Dです。発売から8年で1000台以上のヒットモデルに育てて頂きました。有難うございます。
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これは松セット(Gold Lion ECC82 × 3, PSVANE WE274B, ASC X335 4.7uF仕様)です。
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とても美しい配線です。音もシルキーで品格と伸びやかさがあり、さすが最上級モデルという感じです。ゲインは14~15dB(約5倍)で最も使いやすく設計され、イメージとしては時計の9時~10時で最適音量が得られることを目指して設計しました。

チェックしていて面白いのは人間の顔が皆違うように、アンプの配線にも一台一台個性があること。私どもを支えて下さっている職人さんは皆さん素晴らしい技術を有した方ばかりで、勿論マニュアルに忠実にしっかりモノづくりして下さっていますが、それでもパッとみて分かる”顔”があります。データシートを見なくても”あ、これは○○さんの作品だな”って直ぐ分かります。

職人さんには単に組立だけでなく、測定とエージングまで含めた”自工程完結”型の作業をお願いしています。だったら特に私がすることは無いんじゃないか...と思われるかもしれませんね。

私がやっていることは、職人さんの環境や使用機器によってばらつく測定結果を当社環境で再測定することで”標準化”すること。基準点を合わせて客観性を担保することが作業の中心です。加えて職人さんそれぞれの配線上の個体差を修正して当社基準に合わせることも重要なミッションです。

機台によってネジの締付トルクが違ったり、束線の方法が違うのは好ましいことではありませんので、一台数時間かけて全項目の再確認を行い、必要に応じ微調整させて頂いて、作った人が違っても同じ品質で会社の製品として送り出すまでの工程を担当させて頂いています。

もともと電気科出身でも何でもない、素人あがりの私が、いまこういう仕事をしていることを知ると学生時代の友人や前職の知り合いはとても驚きますし、わたし自身も”思えば遠くへ来たもんだ”的感傷に囚われます。

当社はもともと商社でモノづくりの文化はありませんでしたし、特にどこかの機関で研修の機会を与えていただいたということもなく、私の場合は基本すべて失敗も含めた経験則でここまでやってきました。独りぼっちで始めたこの仕事を進める道のりは平坦ではありませんでしたが、お客さんを全ての先生として今日まで走ってきた感じです。

当社の職人さんが全員元お客さんであることは以前にも書きました。私自身ももちろん一生懸命勉強してきましたが、永くお付き合いさせていただいてきたお客さんという先生がいたからこそ、今があることに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

さあ、あと3台がんばらねば...GWはオーディオ三昧でお楽しみ頂けるよう、引き続き細心の注意を払って取り組んでいきます。


by audiokaleidoscope | 2025-04-13 23:59 | オーディオ

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