人気ブログランキング | 話題のタグを見る

修理という仕事

今日は機器メンテとアップグレード中心の作業日でした。まずはSV-2 ver.2010(KT88ドライブ211/845シングルプリメイン)から。
修理という仕事_b0350085_05485930.jpg
修理でいちばん重要なのは”なぜ壊れたか”のプロセス特定です。写真は全ての作業が完了しエージングに入ったところの実機ですが、今回の事例では実機が受けたダメージの真因特定が難しく、関係者間で幾度となくカンファレンスを実施しました。

状況的に211/845のセレクター位置と使用出力管が合致していない状態で通電すると、定格の3倍以上のプレート電流が流れることによって起こり得る故障という事はいえるものの、お客さんのレポートから使用上の過誤はないということから、結果的に原発不明事案として可能性のある部分を全て交換していくほかないという結論に達しました。
修理という仕事_b0350085_05490073.jpg
行き戻りつの大工事でしたが結果的に問題ない状態でお返しできるようになって良かったです。前技術担当が健康上の理由で会社を去ってから何年かが過ぎ、現在わたしの主業務は”創る”から”直す”に移行しておりますが、修理という仕事はとても自分の性分に合っているような気がします。ある意味お客さんへの責任を果たせたという達成感があるからかもしれませんね。

次に実施したのがSV-192proの真空管アップグレードです。対象球はMullard M8136 / CV4003で、192系で最も実績のあるグレードアップ例です。
修理という仕事_b0350085_05490080.jpg
修理という仕事_b0350085_05490078.jpg
Mullard M8136 made in Great Britain / Mitcham Factory(1960's)
修理という仕事_b0350085_05490054.jpg
192S / PROでは真空管交換に際して細かな調整が必要です。パワーアンプのバイアス調整と異なり複数の測定器が必要なことから方法については非公開とさせて頂いておりますが、さすがMullardというべきか、今回のペアは真空管由来の調整は全くとっていいほど必要がありませんでした。

完全新品ゆえ数十時間のエージングが必要ですが、数時間でノイズレベルも下がり”エキスパンドモード”に振ると音の太さがグッと増してCDが非常にアナログライクな音で鳴り響く感覚です。192S / PROを固定出力でお使いの方はいま一度、可変出力(”Unity”レベル以上で出力)をお試し下さい。

詳しくはこのエントリーの後半に出てきます。

日進月歩のデジタルですが、STUDERの730シリーズやBARCO EMTの981など今でも全く色褪せないどころか、ますますその存在感を増すヴィンテージ機器が顕在です。SV-192シリーズがそうだとは言いませんが、2008年にデビューしてから17年、いまでもこれだけお使いいただけているDAコンバーターはそれほど多くないのではないでしょうか。
修理という仕事_b0350085_06091966.jpg
これは、その192S発売の2008年の真空管オーディオフェアでお客さんに配った湯呑みです。部屋の掃除をしていて出てきました。懐かしいですね。
by audiokaleidoscope | 2025-04-11 23:59 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


by SUNVALLEY audio