人気ブログランキング | 話題のタグを見る

笛吹童子6DJ8

今日も一台一台時間を掛けて買い取らせて頂いた機器を整備していきます。まずはSV-3(後期)です。この個体はかなり時間がかかりました。商品説明欄で”渾身のメインテナンスを実施しました…”的なコメントがあった時は”けっこう苦労したんだな”とお察し下さい(笑)。

前にも書いたことがあったかもしれませんが、私どもの認定中古は多くの場合、入荷時と再販時で真空管あるいはコンデンサー等のパーツが変わっています。満足いく整備が出来ると、思わず”もっと良くしたい”という思いが募るのかもしれません。改造には至らない範囲で”こんな楽しみ方もありますよ!”といった個々の機器のオリジナリティを拡げる事例紹介の一端をさせていただきたいという気持ちもあります。

このSV-3で注目いただきたいのはAmperex 6DJ8(通称”笛吹童子”)です。
笛吹童子6DJ8_b0350085_22244854.jpg
Amperex Electronic Corporationは1920年代に設立されたアメリカの真空管メーカーで50年代半ばにPhilips系のNorth American Philips Companyの傘下に入った由緒正しいブランドです。

Amperexは楽器系アンプユーザーにも高い人気があり、特にヴィンテージサウンドを指向する方に大きく支持されています。派手さはありませんが、枯れたコクのある音が魅力という評価が定着しているようです。
笛吹童子6DJ8_b0350085_22244713.jpg
MT管にしては気合の入った化粧箱ですね。当時のアメリカの力と余裕の表われでしょうか。
笛吹童子6DJ8_b0350085_22564260.jpg
ラッパを吹く真空管をして笛吹童子と言わしめた有名な意匠。ユーモラスで遊び心があります。肝心な音に関してはTESLA E88CC Red Topよりもややいぶし銀的な味わいを引き出せたらと思い採用してみました。

続いて診させていただいているのはJB-320LM II / 300B仕様(完成品新古)です。とりあえずドライブ段をTung Sol 6L6GCに替えて聴いている所ですが、端正な6V6に対して中低域の量感が増してボディのある音に変わっています。
笛吹童子6DJ8_b0350085_22244746.jpg
続いて初段をPSVANE WEからLM310Aに替えて鳴らしてみました。現在300BはPSVANEですが、このままで行くか、もっと熱気のある音を狙ってPrime 300B ver.4を奢ってみるか...あるいはこの個体は2A3も面白いかも...と楽しみながら調整を行っているという訳です。
笛吹童子6DJ8_b0350085_23085336.jpg
内部はフルオリジナルでほぼ新品と言ってもよい状態です。Arizonaに替えたいところですが、それだけで自ずと3万円くらい値段が上がってしまうので思案のしどころ(後変でも良い訳ですし)。

真空管アンプにおけるタマやパーツ交換は洋服のコーディネイトのように着る人の違った魅力を演出します。オーディオがどんどんブラックボックス化して数値競争に走り始めて半世紀以上が経ちました。果たして本当にオーディオは進歩したのでしょうか。身近で自分色に染め上げる楽しみに溢れた真空管アンプの歓びを私どもの認定中古で初めて体験したという方も多くいらっしゃる訳ですが、”こんな組み合わせはいかが?”という提案やリクエストも大歓迎です。一緒に楽しみましょう。



by audiokaleidoscope | 2025-04-10 23:19 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


by SUNVALLEY audio