今日は完成品, 修理品, 買取品のチェックと盛り沢山でした。全部はご紹介できないので、”こんなパターンもあるんだねえ”という事例を二つご用意しました。


まずはJB300Bキット(2011年出荷)の修理から。出力管はご存じ高槻300Bです。

内部は手慣れた方の作品と直ぐに分かる見事な配線です。伺うと組んではみたものの上手く動かず、見直しても配線間違いはない...結果10数年放置の末のドックインでした。
人間というものは一度深いバイアスがかかるとその呪縛から逃れられないことがよくあります。そのトラップに嵌るとなかなか抜け出せないものですが、別の人が見ることで案外パッと問題が見つかるもの。
答えはなんと片側の300Bソケットが逆付けで1-4番(フィメント)が本来フロント側の向かなければならないところ後ろを向いていて、結果フィラメントがカチカチ, プレートとグリッドがユルユルで接触不良という経緯でした。”UXソケットあるある”かもしれませんね。あとは全く問題ありませんでしたので、これから改めてお楽しみ頂きたいと思います。
次は目下大人気のエレキットTU-8400組立代行品です。

真空管なしのご下命でしたので通電確認と測定を何でやろうかと思案し、今回は曙光電子EL156で行うことにしました。EL156のオリジナルはTelefunken。Neumann(ノイマン)のカッターレース等に採用されていて、一時期は”史上最高のビーム管”として賞用された時期もありました。オリジナルのEL156は10ピンの特殊なピン配列ですが曙光製はUS8ピンに変更されています。
ヒーター定格6.3V / 1.9AでバイアスもKT88とはかなり異なるので電気的な互換性はありませんが、TU-8400ならではの”アクティブオートバイアス”ならEL156もカバーするのでは?...と思い通電してみたら、信号通りました!

なかなかの威容ですね!音質はKT120に似たシャープで締まった傾向で、大型ウーハーのスピーカーも制動してくれそうな信頼感が魅力です。電圧増幅管もTelefunken ECC83を奢って測定とエージングを行っていきます。

そしてもう一種類GE 6L6GCでチェックします。元々はMcIntosh MC30用のストックでしたが、TU-8400ではEL156とは打って変わった優しいタッチの聴きやすい音に変化しました。
先日TU-8400を購入くださった方が、”高価なヴィンテージアンプには手が届かないけど、タマなら新旧ふくめ色々と楽しめますからね。これで真空管アンプの楽しさを味わい尽くします!”と仰っていました。手の届く範囲で自分なりの楽しみ方が出来るオーディオってとても素敵な趣味なんだな、と改めて感じているところです。