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未知なるものへの畏れ

今日は買取品のチェック日。”玉石混交”なんて言葉がありますが、石も磨けば玉になると考えてチェックすると、また違った見方が出来ると思いつつ拝見しているところです。
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そんななか、持ち込まれたSV-19D(コンパチ多極管pp)。Svetlana(SED) EL34とTelefunken♢ ECC83を手に入れたので、真空管のチェックとバイアス調整等をお願いできないか、というご依頼でした。せっかくなのでアンプの健康診断もいっしょにやりましょう、ということで通電開始。

バイアス調整は一旦慣れてしまえば何という事のない作業で、例えて言えばタイヤを変えた時のアラインメント調整と空気圧の最適化みたいな感じと思っていただいて構わないと思うのですが、案外”自分にはムリムリ”と思っておられる方も多いようです。

規格外の真空管を使わない, テスターはインピーダンスの高いデジタルを使う等の基本ルールは確かにある訳ですが、それ以前に、4本のEL34の場所決めをどうするの?、或いは2本のECC83の右左は何も考えないでいいの?...その時点で逡巡してしまう方もおられるのかもしれません。

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今日の真空管はすべて新品で、SED EL34もTelefunken ECC83も今後二度と製造されることはない訳ですから、余計にちゃんと調整して欲しいと思われるのが人情。時間を掛けて少しづつ追い込んでいきます。

ECC83に関しては通電前のチェックで二本ともB61022401=Berlin(Ulm)工場製,1962年4月16日製造のロット01品であることが分かりました。特性も揃っていて2本でウン万円というのも納得です。タマの良さもあり、左右ゲインも周波数特性もIpももちろんバッチリ調整できました(実機データはこちら)。

一連の作業をずっと横からご覧になりながら、「こういう作業手順をこと細かにブログに上げているのを見ていると、”自分で出来るようになりなさいよ”と言われているように感じてはいるのですが、どうにも自信が...」と仰る気持ちはとてもよく分かります。

誰かが言った、”未知なるものへの畏怖と憧れが対象への愛と尊敬の萌芽となる”という言葉はオーディオにも通じる部分があるかもしれません。ソクラテスの”無知の知”は、知らない自分を自覚せよという教えだったと40数年前に習った覚えがありますが、知識, 経験によって更に深く知るという側面も大切な一方、”神秘への畏敬”的な感覚によって更に対象物を美しく感じられる側面もあるのかもしれませんね。

by audiokaleidoscope | 2025-04-06 23:59 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


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