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基板アンプのパーツ交換

今日は基板アンプ3台の出荷前点検。まずはJB-320LMIIのセットアップとカップリング交換から。
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これはPSVANE WE300B / Arrizona仕様(通称「最強」バージョン)。ひと皮むけた鮮度感が最大な特徴です。
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そしてWestern Electric 300B / Arizona仕様。PSVANE WE300B仕様同様、Tung Sol 6L6GCドライブによるふくよかさとWestern Electric 300Bの浸透力は唯一無二のものです。

今日はこの2台に共通するカップリングコンデンサー(4個)の交換プロセスをご紹介します。

アンプ組立後(あるいは購入後)にご自身でカップリング交換を行って音質向上を図られる方がどんどん増えています。それ自体は大歓迎なのですが、一方でトラブルも一定割合発生しており、その大部分が、①過熱による基板パターン剥離, ②元のコンデンサーのリードを抜く際に勢い余ってスルーホール(両面基板のパーツ穴内にある裏表を電気的に導通させている銅リング)まで抜いてしまうのが大半です。これが起こるといずれも高度な修理技術を要するので、経験のない方は注意して行いましょう。

今日何枚か写真を撮りましたので、具体的に説明します。
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まずオリジナルコンデンサーを外す作業です。ニッパーでなるべくリードを長く残すような形で切断します。ヒゲ状に残っているリード切片が見えるでしょうか。これを如何にスムーズに除去するか、ここがポイントです。

片面基板の場合は面倒がらずに基板を外し、”毛穴”が見えるまでハンダを除去(吸引)することが重要ですが、両面基板の場合は基板の見える側に敢えて少量のハンダを追加し、熱によって残存したリードが動き始めたところでリードペンチで抜き取ります(加熱が不十分な状態で無理やり抜こうとするとスルーホールも取れてしまいます)。

その後、残ったハンダを吸い取って毛穴が見えるところまで復元する訳ですが、このハンダ吸い取りにも難儀される方が多いと思います。昔とった杵柄でハンダ吸い取り線に慣れている方は別として、SPPONでスッポン!と吸い取ってしまうのがお奨めです。私は仕事で電動タイプのバキューマーを毎日使いますが、一度この効果を実感すると止められません。やはり道具は重要ですね。
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ちゃんと毛穴が見えました。両面基板の場合は少し工夫すれば、基板を外さなくても出来るという訳です。いよいよここからArizonaを実装していきます。
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Arizonaには方向性(サボテンが信号出力側)がありますので、間違わないように注意しながら再ハンダしていきます。
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まず電圧増幅段のカップリング(0.1uF)を交換できました。
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ついで電力増幅段のカップリングも交換して終了。交換が完了後にOuter(出力側)にDCが漏洩していないことを確認したら完璧です。
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決して標準のフィルムコンが悪い訳ではありませんが、Arizonaの音の良さは格別です。メーカーアンプでは1万USドル以上クラスの製品にしか使われない逸品ですので、未だの方はぜひお試しを!
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今日もう一台仕上げたのはTU-8400組立代行品です。この個体は真空管なしでのご注文でしたので動作確認をTelefunken ECC83, KT170で行っているところです。

両面基板を立体的に組み合わせた構造がユニークです。カウルを外されてパドックに鎮座しているレーシングカーのようで格好いいですね。データもバッチリです。
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by audiokaleidoscope | 2025-04-03 23:59 | オーディオ

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