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羊の皮をかぶった狼

今日は年度末。いつものように相談や質問などのメールに加え、退任, 退社等のお報せも届きます。毎年このタイミングは新たな門出でもあり、終わりでもある悲喜こもごもの節目なんだと感じます。永きに亘って活躍された先輩や同志を心から慰労するとともに今後ますますのご活躍をお祈りします。

そんななか、今日ある媒体から対談取材のオファがありました。真空管アンプメーカーのトップや開発担当の覆面鼎談で仮想新製品開発会議を出来ないか...そんなお話でした。つまり今われわれ販売側がなにを考え、どんな商品が今後面白いと思っているのか自らの考えを開陳する記事にしたい、そんなお話でした。

なかなか面白そうだと思い、”あくまで仮想の話として”という条件つきで快諾したのですが、半日くらい経って再度連絡があり、”他のメーカーさんは皆さん辞退ということでバラシ(=企画中止)”ということになったようです。あくまで一つのナゾカケ的テーマとして読者さんが関心を持たれるコンテンツだと思うのですが、きっと他のメーカーさんは”ネタバレは御免だ”とお考えになったのかもしれません。なんとも残念なお話です。

ひとつ言えるとすれば、真空管アンプの管種, 回路形式, スペック等に関してかなり出尽くした感があること否定できません。ブランドは違えど金太郎飴のようで何を選んで良いのか分からん...という話も沢山伺ってきたなかで、近年私どもはキットを自作派の皆さんのみならず、世界に一台の自分だけのアンプを手に入れる完成品希望のお客さんのための有力な手段として位置付けて参りました。その一つが”松竹梅”とか”○○仕様”というアップグレードによるカスタマイズを可能にしたことが大きな波になったと考えています。

キット=部品の集合体ですから仮に市場価格5000円のパーツがあれば、5000円の価格アップで済む訳ですが、これが一般的な製品に置き換えると5000円は製造原価に算入され、製品価格的には3倍以上で転嫁されることが一般的です。これが近年私どもの最大の強みとなった”アップグレード版で組立代行”の価格対満足度の高さの背景のあり、この取り組みに対するお客さんのニーズは今後ますます高まっていくものと思います。つまりキット=自作と限定的に考えるのでなく、現在におけるキットの位置づけは「カスタマイズ用のベース」として非自作派の方にとっても注目のターゲットとなっているという訳です。

その昔、”羊の皮を被った狼”なる言葉がありました。見かけは普通の4ドアセダンや2ドアハードトップで実際は超強力なエンジンを搭載したスポーツカー...そんなイメージを託したコピーだったという理解ですが、その感覚を自分のアンプに投影したいと考えていらっしゃる方がとても増えている、そんな感じのお話ができたらと考えていたのですが...いつか復活して欲しいネタです。
羊の皮をかぶった狼_b0350085_04074499.jpg
SV-91B / Western Electric 300B仕様


by audiokaleidoscope | 2025-03-31 23:59 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


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