本決算が近づいてきたこともあって試聴室の機材の帳簿合わせをしたところ、既に終売になったオリジナルアンプのデモ機や、製品開発の際に購入して勉強させていただいた他社さんの製品などが案外多くあることに気づきました。
ずっとこのまま仕舞っておいても良いのですが、欲しい方もきっといらっしゃるでしょうから、整備して品質に問題なければ販売もいいかも、と思っているところです。
例えば...

これは2010年頃に購入したもので、元々はSP盤をきちんとしたカーブのEQで聴いてみたいと思ったことがきっかけでしたが、その後SV-EQ1616Dの着想を得るのに大いに役立ちました。当時まだマルチカーブEQは市場に殆どなく非常に便利だったことを覚えています。SV-EQ1616D発売以前はMUSIC BIRDのSP盤特集の収録時の活用させて頂いたことも懐かしい思い出です。
真空管はTungsram ECC85 / 6AQ8の三本使いでMM専用です。逆RIAAフィルターでリニアリティを測定してみると可聴帯域内で概ね2dB以内とやや大らかですが、それよりも聴いた時の滋味あふれる倍音感が心地よくて快楽的にアナログを楽しみたい方にはお奨めです。

職人さんが一台一台仕上げている感じで、とても親近感を感じます。ひとことで言うと柔らかく温かい音で鳴るフォノEQです。
そして次なる候補は...

懐かしのSV-23D (807シングルパワーアンプ)です。これは限定の初段Mullard EF37A / CV358。このアンプの成功がきっかけになって2015年の1616シリーズ立上げに繋がった想い出深い製品の一つです。
ちょっと面白いのはこの個体は片側の807が日立, もう片方がRCAであること。単に適当に使ったという訳でなく、当時出力, ゲイン, 歪率, 音色でペア取りした時に最も良好な組合せがこのブランド違いでした。今回EF37Aは新品に交換しましたが、807と5AR4は当時を偲びながら聴いたところ、全く劣化もありませんでしたので、敢えてこのままご提供しようと思っております。
内部状況。すでにこの頃から1616的レイアウトやワイヤリングが完成されていたことが分かります。
小気味よく走るライトウェイトスポーツカーのような反応の速さで、出力も8W近く出ていて中型スピーカーまでなら何の苦も無く鳴らし切るでしょう。807と聞いて無線機の出力部で使われていたタマだよね...なんて話が弾む方は今や殆どいませんが、小型送信管807の魅力を体感いただくのにピッタリではないでしょうか。
他にもデモ機で使っていたKT170が4本遊んでいたりと、急な話ですが番外編的に明日3/27(水)のいつもの時間にアップしてみます。認定は認定でも今回は認定中古デモ機ですね。皆さんの人気が高いようでしたら、今後定期的にご案内しても良いかなと思っているところです。