今後のELROG真空管について

月末期限の国内, 海外向けの出荷検査が山積で夜を徹して頑張っているところです。そんななかで手持ちのELROG 845が完売となったため、追加で手配しようと新規に見積りを取得したところ、先のWestern Electric 300Bと同じ状況になっていることが分かりました。つまり円安と現地コストの上昇によって、今後の調達価格が前回の約50％アップしています。

ドイツはその確かなモノづくりで定評がありますが、基幹産業である自動車産業とくに電気自動車の分野において中国メーカーとの競合に苦戦し、国レベルでみても好況とはいえない状態であると聞いていました。ドイツやスイスは人件費が高いことでも知られていますが、職人的な技術を大切にするという意味でとても重要なことだと思う一方、価格競争力の面では不利という側面もあるようです。

ELROG社については本格的導入を介した2019年頃から会社というより工房規模の組織であることは分かっていましたし、真空管というレガシー産業の市場規模から、世界的にみても中国、ロシアを除いて大手が介入する余地のない状態であることは明白です。そういう状況のなかで大量発注による原価低減や生産合理化によるコストダウン発想はほとんど意味がありません。

今回あらためて分かった輸入コストの大幅アップによって、今後も客注的なオーダーは引き続きお受けできるものの、現在の価格での販売は手持ちの在庫限りとなりますことをお伝えしておきます。211, 300Bの在庫もたいへん少なくなっておりますのでご検討中の皆さんはお早めの手配が有効と考えられます。ざっくりですが今後はいまの価格の約1.5倍程度になる見込みです。