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忘れじのアンプ三選

今日も回顧的テーマです。

お客さんと喋っていて、過去の真空管アンプで印象に残っているモデルってナニ?と訊かれました。もし生成AIに似た質問をするとMarantz7とかMcIntosh MC275とかが出てくるのでしょう。

私に関していえば、起業する前あるいは起業した頃に自分で使ったものの中で、その音が心に残っているものが3つあります。
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アマチュアの自作アンプではないかと思うほどのシンプルで虚飾のないデザインで、内部配線もパーツリードを最大限に活用したアクロバティックな最短配線のアンプでした。EL34ppで公称25W/chのアンプでしたが、なんといっても超ハイスピードでスカッと抜け切ったサウンドがとても印象に残っています。中古屋さんのアーカイブに写真が残っています。
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Unison Reserch Simply-Two(ファーストロット)

これは皆さんも見たことがあると思います。変哲のないEL34シングルですが低帰還動作時の瑞々しい音には大きな影響を受けました。公称12W/chが実質は7Wだったり、抵抗のワッテージが設計上足りていなかったりとイタリア製品らしく(失礼)、少々大らかなところもありましたが良いアンプでした。後に設変されて大きく音が変わったアンプです。
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Audion Silver-Knight 300B

イギリスのアンプで、確か初段はECC88, ドライブが5687で各ユニットを左右に振り分けて使う回路だったと記憶しています。とにかくタマの選別がタイヘンでした。これも6W程度の出力だったような...のちのElekit 873シリーズにデザイン面で影響を与えています。

残念ながら3台とも現在は手元にありません。いずれもディスコンで市場流通品に当時の性能を維持しているものがあるかは微妙ですが、チャンスあれば再び聴いてみたい気がします。30年以上を経て当時の印象といまの印象がどう変わっているか自問自答してみるのも良いですね。

不思議なことですが、この手の小規模メーカー(Unisonはいまやビッグネームですが)の製品はきまって最初期ロットが一番音的に良いものです(だからこそ世に出たと言えるかも)。ガレージメーカー規模だった会社から出た製品がバッと売れて市場から要望やらクレームからがバンバン来て手を加えたことによって元の音が失われてしまうというケースに多々出会ってきました。

今日の3機種は決して完璧ではありませんでしたし、それぞれ弱点も持っていましたが、その危うさと裏腹に規格化された大量生産品にはない突き抜けた魅力がありました。これらの製品から学んだことは数え切れません。
by audiokaleidoscope | 2025-03-20 23:59 | オーディオ

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