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オーディオとSORD

1980年頃のことだったと思います。日本でマイコンという言葉が一般化しはじめた頃に「SORD」というメーカーの製品が雑誌によく載っていました。当時のことは余り覚えていませんが、ソフトウェアとハードウェアの双方の発展あってこそのコンピュータ社会の健全性が担保される...そんなイメージで命名された会社と記憶(理解)しています。

オーディオにおいても同様で、音源と再生装置は両輪の存在。もっと言えば性能(スペック)的な意味でハードウェア側のブレイクスルーがない(高止まりしている)なかで、オーディオという芸術にもっと光を当てるためには、良い音源が作られ市場に遍く流通するかどうかがとても重要です。

そんななか衝撃のニュースが業界を貫きました。高音質音源を日本に紹介し、特に個人的にアナログ音源の入手先として最も信頼していたサプライヤーの一つである、キングインターナショナル事業終了の報せです。
背景としては様々な要因があったことでしょう。サブスクの台頭やスマホへの情報一元化による”音楽は聴く「目的」から鳴っている「環境」になった”と言われる劇的な環境変化によって、”わざわざ”聴くオーディオが高齢者中心の趣味になってきたことは否めません。

また市場原理によって販売数が減れば単価が上がらざるを得ない機器の背景もあるでしょう。更に円安による原価高騰が追い打ちをかけたというのであれば不幸な偶然です。

実は夏に向けて”リファレンスソース40”という企画が持ち上がっていました。その昔、”キット屋リファレンスディスク”と称して私どもが選んだ”真空管アンプを聴くならこの音源で”というCD, ハイレゾ, アナログをリスト化し、試聴会や真空管オーディオフェアでお配りしたものですが、その2025年版を作り始めた矢先のニュースでした。

アナログの半分近くがキングインター供給音源であることに改めて気づいた訳ですが、今後も海外レーベルは別の代理店に引き継がれることを期待し、改訂しないで発表することにしたいと思っているところです。
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これは今日認定中古出品のために整備を始めたSV-A2(ツインアーム, ベルトドライブターンテーブル)。カートリッジはDENON DL-103(MC), Audio Technica AT-150Ti(VM)とアクリルカバーが付属しています。

この製品が正しく整備を終えることが出来、誰かにお求め頂けたとして、一体どんなアナログ音源が奏でられるのか、考えるだけでも心躍る想いです。クラシック, ジャズ, ロックあるいは歌謡曲...ハードウェアは一つでもソフトウェアは無限。さらに言えばハードも組み合わされるアンプやスピーカーによって無限ともいえる拡がりを見せていく訳です。

キングインターさんの事業終了は慙愧に堪えませんが、私たちユーザーによってこれからも半永久的にその音源が引き継がれていくことを此処に明言しておきたいと思います。オーディオこそSORDであるべきです。


by audiokaleidoscope | 2025-03-13 20:36 | オーディオ

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