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ロシアの大砲

今日はSV-63(6C33C-B pp)のチェックです。20年近く前のモデルですが、当時”ロシアの大砲”なんて触れ込みでデモを行い、試聴会場では人だかりができた機種でした。
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6C33C-Bと言えば一般にその内部抵抗の低さ(80~120Ω)から主にOTLアンプ用に供されることが多い真空管。独特の姿態だけでなく6.3V 6.6A / 12.6V 3.3A(=41.5W)という巨大なヒーター,定格動作時のプレート電流550mA, 最大管壁温度300℃...という図抜けた、言い換えればゲテモノ(失礼)な球に当時野次馬的興味があったことを否定しません。

また1976年のMIG 25函館空港強行着陸の際に機体に6C33Cが使われていたという神話的事実もこの真空管に対する関心を一層高めました。個人的には或る意味で845以上にロマンを掻き立てられた出力管でした。

2005年にSV-63の開発に着手した際に決めたのはOTLでなくコンベンショナルな出力トランス付アンプとして製品化することでした。しかし一次側インピーダンスの著しく低い出力トランスは当時市場に全く存在せず、トランスメーカーも経験がないということで試作を重ね、1年以上に亘る検証の結果やっと陽の目をみた製品でした。しかし鳴らしてみると実にニュートラルで癖のない音質であったことも大変印象的でした。
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これが実機内部。当社きっての組立職人さんが手掛けた個体だけに整然としていますが、タマがタマだけに稼働時の放熱処理(クリアランス)確保に苦労したことを覚えています。
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これもその苦労の痕跡。試作過程で底面に追加した放熱用のファンです。1979年のF1 ブラバムBT46B(ファン・カー)を彷彿させると個人的に悦に入ったものです。

あれから20年近い時間を経て、ソ連崩壊時に大量放出された6C33Cもすっかり入手困難になりました。たまに市販されているのを見かけても無選別, ペア取り不可で当時の5倍くらいしています。

6C33アンプなんてコストばっかり掛かってタイヘンだから止めておけ...当時、業界の先輩たちからはかなり口酸っぱく言われたのですが、そう言われると余計にやりたくなって作ったSV-63。こうやって触れ合えるのは今回が最後かもしれません。しっかり診てあげたいと思います。

…と今回も思い出に任せた独り言になりました。今日ノートに過去製品が何機種あるか書き出していたらトータル40機種以上あってあって改めて驚きましたが、全ての製品を愛おしく感じるのは自分が歳を喰ったからかもしれませんね。



by audiokaleidoscope | 2025-02-26 23:59 | オーディオ

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