お品書き part2
2025年 02月 18日

SV-4が範にとったQUAD IIはキュートで洗礼されたデザイン, アメリカ真空管アンプのパワフルなさと違った独特な緩やかな響き, 卓抜した位相反転回路等から他の真空管アンプと一線を画す存在です。SV-4はQUAD IIを忠実に復刻しつつ、オリジナリティを加えたモデルとして多くの愛用者に恵まれました。今回貴重なTelefunken EF86♢, GEC KT66, Mullard GZ34を全て新品で用意し、美麗でエレガントな音質を目指しました。


続いてはアドバンスPRA-1です。私がこの世界に入ることが出来たのもアドバンスの故 米田さんが居たから、といっても過言ではありません。その製品は外観の派手さがありませんでしたが、非常に緻密で中庸の音質で同業者からも一目置かれる鉄人でした。このPRAもスタートアップ遅延、リレーによる入出力切換など、高級機譲りの見事な回路設計です。アルプスRK27型アッテネーター, フラットアンプ6 / 9 / 15dBゲイン切替等凝った造りになっています。

いわずと知れた当社最大のパワーアンプがSV-2 ver.2007です。当時300Bで845をドライブする回路は一般的ではありませんでしたが、その鮮度高い音質は当社製品の歴史の中でも決して欠かすことのできないものです。1kV近いB電圧, シングルとしては異例ともいえる28W / ch(実測)の大出力。オール三極管構成の高音質は真空管アンプが目指す究極の姿の一つです。仮にいまこれを製品化したら当時の3倍(以上)の価格となるに違いない本当の意味でのハイコストパフォーマンス機です。

私どもでは20数年の間に10機種以上の300Bアンプを手掛けてきました。そのなかで最もニュートラルで柔らかく鳴るのがSV-501SEです。もともと6AN8で300Bをドライブする回路であったアドバンス M-501(1996)をモディファイし、6BM8を初段に替えることを提案させていただき製品化したのがSV-501SEです。出力トランス一次側インピーダンスを敢えて2.5kΩと低くしたことで得られる音質は唯一無二のものです。本個体はPrime Tube 300B ver.5を擁し、出力10Wの大出力を得ています。タンノイなどコンベンショナルなスピーカーを朗々と鳴らしてくれる300Bアンプのメートル原器です。

これもアドバンス 米田さんとの共作でした。当時アドバンスから出ていたHCシリーズ(プリメインアンプ)の電圧増幅回路ユニットを切り離してプリアンプにしたら面白いものが出来るのでは?...と提案したのが始まりでした。当時HCのコントール回路は入力2系統, トーンコンBASS側は+レシオのみであったですが、このver.2以降は入力3系統, BASS側は+ / -可変に設変しました。本個体は完成品でお納めしたものでE88CC / 6922仕様となっています。基本的音調は中低域に厚みを加えるタイプで柔らかく拡がりのある音が特徴です。

このアンプは2009年頃、技術誌を読んでいて目に留まった筆者さんとのコラボ製品でした。当社歴代最小アンプで出力1.5~1.6Wですが、闊達な音色で実出力以上のドライブ力を有しています。PCL86は6GW8(欧州名ECL86)の14V管で、本機では出力より音質を優先し三極管結合にしました。専用設計の出力トランスを用意し、NFBはP-GのみとしPCL86の伸びやかな音質を温存しています。またヒーターバイアスをかけ十分にローノイズなアンプに仕上げました。定価3万円程度のミニアンプでしたが、拘りは高級機と変わりません。
…製品紹介のつもりが、気がつけば思い出噺になってしまいましたね。いずれも私たちの大切な歴史の1ページです。
