ひょんなことから世界観や価値観が大きく変わることがあります。もともとハイエンドオーディオユーザーだった方が真空管アンプと出会い、その豊かな表現力に心酔されるうちに、自分で作りたくなった...この仕事を通じてそんな方々とたくさんのご縁をいただきました。
今回の方もそんな一人。何十年前に学校でハンダごてを握って以来で全く自信がないけど大丈夫でしょうか…そんな相談をいただいたのは半年くらい前でしょうか。
大丈夫かどうかは自分次第、でも慌てず真摯に組立マニュアルに忠実に作業すればきっと出来ますよ。なんなら休みの日にウチの会社で作業して、分からないことがあったら声を掛けて頂ければサポートしますよ、とお話していたのですが、年が明けてから自力でやってみると宣言がありました。
本番前にまずは腕慣らしと予習を兼ねて
DJ-01の製作をお奨めしました。お初にしてはちょっと高めのハードルですが、メインターゲットがTU-8400ということだったので、レベル的にはこのクラスがクリア出来ている方が結果的に苦労がないだろうと考えたからです。
誰しもが最初はハンダを流すタイミングとコテを離すタイミングが掴みにくく、最初に拝見した写真はハンダの溶融温度がやや低い印象でした。”ハンダをつけるというよりは被ハンダ部分をハンダが溶ける温度まで熱してからハンダを添えると自然と溶けて流れるイメージ...流れたと思ったら1秒待ってコテを離す”ということを電話で伝え、再ハンダをお奨めしたところ肚に落ちたようで格段にレベルアップしたようです。
この感覚さえ体に入れば基本もう大丈夫。案の定電話があって”鳴りました!超感動です!!”とお知らせが入ったので電話越しに万歳三唱して、いざ本番に移行することになりました。
あれから一週間...今日TU-8400の基板が組み上がったということで写真が届きました。

どうでしょうか...二作目にして立派なオシゴトだと思います。DJ-01で苦労したことを乗り越え、今回はハンダの溶融温度も適切で定着具合も良さそうです。
メールごし、電話ごしの遠隔でも気分は一緒に作っている感じです。次の工程であるシャーシへの組付け時にネジ締結をしっかりしていただくようお願いして、引き続き健闘を祈りつつ何かあった時のためのサポート体制を整えておきます。今回も”出来ました!鳴ってます!!”というご連絡を待ちましょう。頑張って!