今日は買取依頼品の入荷検査(査定)。

SV-501SE / EH300B仕様(左)とSV-396EQ / Western Electric 396A仕様(右)。いずれもフルマーク(最高料率)で査定書を切らせて頂きました。
もともと知っている方からのお預かり品ということもありますが、こういう作業は性善説的にやっていかないと時間はかかるし辛い査定になるだけで誰もハッピーになれないので、損得よりも気持ち良く売買が成立することを優先しています。整備はそのあとしっかり時間を掛けてやれば良い訳ですし。

よくよく調べてみたらSV-396EQは認定中古初入荷のようです。橋本HM-3(MCステップアップトランス)を搭載したCR型フォノEQで、この個体は限定で製造したWE396A仕様ですから尚更貴重品です。

海外を含めてほぼ絶滅の
WE396A / 2C51。1950年代半ばの真空管でWesternでは珍しい9ピンMTの双三極管です。非常にナチュラルで色付けのない音で、T6 1/2型と呼ばれるドングリのような形がチャーミングですね…と売買が成立もしていないのに思い入れ120%になってしまいました(笑)。
そしてこれはElekit TU-8730 (300Bプリメイン)。90年代初め頃から同社製品は知っていた訳ですが、この仕事を98年に起業した後、2004年にTU-8730を扱わせて頂いて爆発的ヒットになったことがきっかけで、今の親密な関係性の礎となった思い出深い製品です。

20年経っているにも関わらずたいへん状態の良い個体です。入荷したとき最初に診るのはネジの締結状況。機構的にちゃんと出来ている個体は大概問題ないものです。ターミナルがグラグラだったり、ネジが緩んでいるものは信号が通っても見えないところで問題が潜在していることが多いもの。モノづくりの基本はネジ締めにあり...は真実です。その点でもこの8730はほぼ満点といえる状態でした。
思えば当時まだ高嶺の花だった300Bが一気に身近になったのはこのアンプがきっかけだったかも。今や5万円で中古300Bアンプが買えるなんて誰が想像したでしょうか。時代の扉をこじ開けた記念すべき製品のひとつかもしれません。製品は思い出と共に...ですね。