人気ブログランキング | 話題のタグを見る

備えあれば憂いなし

今日はメインテナンス品と完成品の出荷前点検。最初は2015年当社組立のSV-4(KT66pp MONO×2)。

製造完了になって久しいですが、いまでも人気のある製品で多極管プッシュプルでありながらクラシックファンにユーザーが多いアンプです。
備えあれば憂いなし_b0350085_21544184.jpg
これはメインテナンス完了後のシャーシ内部ですが、お客さんがアンプを落下させてしまい、その後唸り音が出るようになったというお申し出でした。

唸るということはトランスのダメージか内部で配線等の短絡の可能性もある危険な状態であることから心配でしたが、幸い真空管にもトランスにも問題なく、シャーシの変形も認められなかったことが不幸中の幸いでした。写真のように完全に原状回復が出来ました。

今回トラブルが生じたのが片チャンネル(1台)だったのでお預かりしたのも1台で問題なかった訳ですが、左右チャンネルの特性を合わせ込む調整プロセスが私どもの腕の見せ所でもあるので、皆さんが仮にMONOアンプのメンテを当社に依頼くださる場合は、異常ないと思っても両チャンネルお預けいただくことをお奨めします。今回は2015年組立時の測定データが残っていたので、それを参考に最適化が出来ました。

次に取り組んだのがJB-320LM IIの調整。今回二種類の真空管の組合せでお使いになりたいということで、ハムバランス等の再調整せずに、どこまで挿し替えて楽しんで頂けるかということに留意して時間をかけて追い込みました。
備えあれば憂いなし_b0350085_21545332.jpg
①Western Electric 310A, Sylvania 6V6メタル, ELROG 300B, PSVANE WE274B
備えあれば憂いなし_b0350085_21545745.jpg
②PSVANE WE310A, Sylvania 6V6メタル, PSVANE WE300B, PSVANE WE274B

Sylvania 6V6とPSVANE WE274Bは①②専用の別個体。お客さんのリクエストでELROG 300Bでハムバランス最適化を行って欲しいということでしたが、ELROGバージョンで0.4mV, PSVANE WEバージョンでも無調整で0.6~0.7mVまで追い込むことが出来ました。聴感上のハムは全く気になりません。

余談ですが、以前旧い製品のオーバーホールを専門業者に依頼した時、”スピンドル注油とベルト交換を行い問題なきことを確認した”という一文のレポートだけが添えられていたことがあります。なかにはレポート無し、電話で”直りました”でお終いという場合もあったりします。

何が要因だったのか、その要因を踏まえて何を行って、その結果どうなったのかをデータで管理するのが業務の基本です。その証憑が役に立つのは冒頭のSV-4のように10年後のことかもしれませんが、”備えあれば憂いなし”はどんな仕事においても同じですね。


by audiokaleidoscope | 2025-02-02 22:56 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


by SUNVALLEY audio
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31