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使ってこそ

多くのオーディオ愛好家が複数のアンプやスピーカーを使っておられると思いますが、どうしても稼働率に差が出て、気が付くと”このアンプ(スピーカー)あんまり鳴らしてないなあ…”なんてことがあるかもしれません。

今日伺ったお客さん宅でのこと。サブのJBL4345(4344の46㎝ウーハーバージョン)を久しぶりに鳴らしてみよう、ということになってサランネットを外したら、この通り。
使ってこそ_b0350085_22092319.jpg
ちょっと気味悪い画像で申し訳ありませんが、去年エッジを張り直したばかりの2245H(ウーハー)の振動板全体にカビが発生しています。冬の時期は乾燥していて大丈夫と考えがちですが、スピーカーのコーン紙の多くは抄紙(しょうし:すきがみ)で断面構造的に空間があり、空気中の水分を溜めやすい傾向があります。

また家庭用途ではあまり体感することはありませんが、スピーカーのボイスコイルは素材や設計によって異なるものの、数百Wの耐入力をもつプロ用ウーハー等では定格動作時には150℃~200℃程度まで温度上昇することを想定して設計されているものもあります。またVGC(Vented Gap Cooling)という技術によってボイスコイルの周囲に空気を直接流入させることで熱の放散効率を改善させることも一般的になっています。

簡単に言えば”スピーカーは発熱する”ことが前提のモノである訳ですが、これを何か月も使わないで放置すると内部に錆が出たり、上の写真のように振動板の含水率が上がってカビが発生したり、エッジが硬化して低域が出なくなる現象が発生するのです。

今回はカビが内部まで浸潤していなかったので、柔らかい豚毛のブラシで優しく表面のカビを落として七割程度は除去することが出来ました。ただよく見るとまだ表面に斑点状の痕跡が残っていたので、無水アルコールを脱脂綿につけて振動板表面を軽く叩くような感じでカビを除去して対策が完了しました。気をつけたいのが決して”拭かない”こと。振動板を擦ると表面だけでなく構造的にも変化してしまって元へは戻りません。

昔から”空き家がいちばん傷む”、”押し入れにしまったアンプは壊れている”のと同じで、鳴らしていないスピーカーは音質的にも性能的にも劣化しやすいもの。ヴィンテージもので外観は悪いが毎日使われていた個体ほど劣化していないケースも多々みてきました。

道具は何でもそうですが、使ってあげることで寿命を長らえることが出来るという訳ですね。



by audiokaleidoscope | 2025-01-12 23:06 | オーディオ

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