急に日常に引き戻されて自分を失いそうな感覚に囚われている人も多いこんな日は、このアルバムを聴いてリラックスしたいものです。
キース・ジャレットはソロあるいはトリオで広く知られた存在ですが、このアルバムはクラシカルな協奏曲の体をとりつつも非常に絵画的かつモノローグ(独白)的な美しさに満ちていて、タイトル通り天空を飛翔する鷹のような広大な世界観が最大の魅力です。
特に二楽章の冒頭部はあらゆる音楽に通じる普遍性があり、仮に私がキースのベストはなに?と訊かれたらこのアルバムを挙げるかもしれません。


このLPは敢えて日本盤(TRIO PAP-9259)をお奨めします。ライナーノートは黒田恭一さん(音楽評論家)。一時期ステレオサウンド誌でオーディオ評もされていた方で、知らずに黒田さんの美しい文章に触れていたという方も多いのではないでしょうか?
氏の文章は今のオーディオ評論とは比較にならないほど深く内面的。美しい音楽を美しい音で聴く意味と愉悦に深く切り込んで聴く(読む)者の心を離しません。